
熱中症で多くの人が搬送される中、医療現場ではその対応に追われています。訪問看護では、猛暑から身を守りながら患者と向き合う医療従事者の姿もありました。
【画像】熱中症患者「3日目以降に急増」理由は…“熱中症続出”対応に追われる医療現場
次々に患者が…治療中に電話も
21日の最高気温が40度の予想だった埼玉県熊谷市。実際は38.6度でした。酷暑日とはなりませんでしたが、それでも医療現場では。

救急隊員
「お祭り中、路上で。意識あり」
祭りを見物していた男性(83)。熱中症の疑いで救急搬送されました。その治療の最中にも。
男性(83)
「休もうと思ったら前につんのめっちゃって…」

救急隊員
「何分後?10分後、OK。もう1台」
患者受け入れの電話が次々と鳴り、熱中症疑いの患者が運ばれてきました。
訪問看護の「一番つらい時間」
訪問看護の現場も、この暑さには参っています。クーラーバッグは必需品です。

訪問看護スタッフ
「水分と保冷剤と凍らしたタオルで体を拭いたりしています。気持ちいいです、首が。首元が冷えてすごく気持ちいい」
熊谷市を中心に訪問看護を行う会社のスタッフ。1人で1日7軒程度を回ります。

訪問看護スタッフ
「どうです?今日、調子の方は」
利用者(64)
「ん~…暑い」
訪問看護スタッフ
「水分は朝からどれくらい飲んでます?」
利用者(64)
「麦茶を今日暑かったから、2リットルくらい飲んだかな」
訪問看護スタッフ
「もう飲んでます?素晴らしい」
エアコンと水分補給の確認は欠かせません。エアコンはついていますが、温度計を見ると32度になっていました。

訪問看護スタッフ
「暑いね。今日は汗が止まらない」
男性は足が悪いため、エアコンのない廊下でリハビリを行います。マスクをしていることもあり、ネッククーラーをしていても汗が吹き出ます。
訪問看護スタッフ
「35度超えても暑いが『酷暑』と聞くだけで気を付けようと思うし、自分より高齢の方たちには本当に気をつけていただかないと。訪問した時に、より声かけを気にしていこうという気持ちになる」
1日の中でも特に今年の暑さを実感するのは、移動に使う車です。

訪問看護スタッフ
「入った瞬間に汗が出てくる。暑いまま次のお宅に行くパターンもあるのできつい。この言い方が合っているか分からないが“地獄”です。そのくらい結構つらい」
「急激な暑さに注意」意識喪失も

埼玉慈恵病院では、午前中から救急搬送が相次ぎました。男性(60代)は、ゴミ出し後に庭で意識を失っていたといいます。大量の汗をかいていました。男性(70代)は、買い物帰りに路上で倒れていたそうです。体温は38.7度でした。さらに、50代男性は路上で嘔吐(おうと)し、足がつったため歩行困難に。70代女性は、電柱に寄りかかって動けなくなっているところを通行人に発見され、救急搬送されました。埼玉県では午後4時時点で、125人が熱中症の疑いで救急搬送されています。
埼玉慈恵病院 藤永剛副院長
「特に酷暑日には体を守っていただきたいので、不要不急の外出を避け、部屋でエアコンをきかせて、外に出かける際は“プレクーリング”あらかじめ体を冷やして出かける」
特に今年は、関東では急激に暑くなったため、注意が必要だといいます。
埼玉慈恵病院 藤永剛副院長
「去年、おととしと違い、6月後半~7月初めまで暑くなかった。数年ぶりの冷夏になるのかなという気もしていた。それが急に暑くなり、例年の40度に迫る暑さになっている。十分な注意が必要」
■“体温超え”危険な暑さ…今後も
命に関わる危険な暑さから、どう身を守れば良いのか。熱中症総合研究所の所長を務め、救急医療が専門の三宅康史医師に聞きます。
21日は40度を超える酷暑日も記録されましたが、22日以降も全国的に厳しい暑さが予想されています。

22日は、岐阜・多治見では41度、愛知・豊田では40度、群馬・館林で41度、京都や高松で38度など体温超えの危険な暑さとなりそうです。
愛知・豊田では21~24日にかけて連日40度以上、埼玉・熊谷では22~23日に40度、京都や高松などでも体温超えの気温が続く予想になっています。
■“暑さ”で体温調節困難に
(Q.40度以上という気温は、人体にどういった影響がありますか)

三宅康史医師
「本来、そもそも人間は体温が約37度という恒温動物です。暑い時には体から放熱して大気中に熱を逃がす。具体的に言うと『放熱』をして体の表面から大気中に熱を逃がす。そして『呼吸』で冷たい空気を吸って、肺に広がっている血液を冷やす。温かい血液と二酸化炭素は体の外に出ていく、冷えた血液と酸素が全身を回って冷やす。これが本来の体を冷やすシステムです。これが体温超えの気温になると、この2つが全く効果がなくなります。そのため『発汗』汗を大量にかいて気化によって体を冷やすしかなくなります。大量に汗をかくと水分と塩分を失うので、冷たい水を飲むことで体の中から冷やす。こういった方法で体温を保っていくしかないという厳しい状況です」
■“3日目以降に急増”の理由
(Q.体温超えの気温が数日間続くとなると、熱中症の危険度も増えますね)
三宅康史医師
「もちろんそうです。1日でもこれだけ熱中症患者が出ています。1日目と2日目は皆さんなんとかがんばって熱中症にならずに済んでも、データから見ても経験的にも3日目以降、猛暑日・熱帯夜が連続すると熱中症患者は一気に増えてきます。今後、気温が高い日が続くとなると非常に心配される状況になります」
(Q.“3日目”に危険な状態にならたいために、どんな対策をすればいいですか)

三宅康史医師
「昼間、暑い中でがんばらなければいけない人は仕様がないですが、家に帰って夜にどう過ごすか“夜のリカバリー”で、翌日の熱中症を避けることが可能です。具体的には『しっかり水分を取る』。寝ている間に我々は500CCくらい水分を失うので、寝る前に1杯飲む、朝起きて1杯飲む、夜トイレに起きた時にできればもう1杯飲む。体を脱水状態にしないことが1つ。それからもう1つは、良い睡眠を取るためにエアコンをしっかり使って、最低でも28度以下、湿度70%以下。その中で自分が1番過ごしやすい温度を見つけていくことが大事です」
(Q.家族やパートナーと同じ部屋で寝ると、体感が違う場合があります。そういう時はどうすればいいですか)
三宅康史医師
「そういった場合には“暑がりの人に合わせる”のがポイントです。1番暑い人が心地いい温度にして、それ以外の方が寒い場合は靴下をはく、長袖のパジャマにする、布団をはおる、などをすることで、皆がぐっすり眠れて、翌日の熱中症になりにくくなると言えます」
■熱中症どう見分ける?
(Q.熱中症と見分けるポイントはありますか)

三宅康史医師
「色んな症状があり、非常に難しいです。めまい・失神・大量の発汗・頭痛・嘔吐・高熱・筋肉のけいれん・倦怠感などがよく言われる症状ですが、元気な人が暑い中にいた、あるいはその後に、どんな症状でも体調不良が起これば、熱中症を疑って応急処置を始める。それで良くなれば間違いなく熱中症ということになります」
(Q.熱中症のサインはありますか)
三宅康史医師
「具体的なサインはありません。元気な人が暑い中で体調不良になったら、熱中症と考えて応急処置を始めた方が安全です」
(Q.自分が気付かないうちに、トイレにいっていないと思う時があるのですが)

三宅康史医師
「熱中症になる人は確実に脱水があります。それが尿に現れます。水分不足のサインとしては、いつもより回数が少ない、量が少ない、色が濃いという時には水分不足なので、水分や塩分を補給する。できれば冷えたものを飲むことで、体を冷やす効果も追加できます」
(Q.熱中症かなと思った時に、効果の高い体の冷やし方はありますか)

三宅康史医師
「ハンカチを水で濡らして体をふく。あるいは体に置いて、うちわなどで風を当てれば冷やせます。手は血流が多いので、冷えたペットボトルを手に持つだけでもいいです。さらに、首の前に当てておけば、頭で暑くなった血液を首筋で冷やすことできます。外に出ているところをうまく冷やすことが、簡単にできる冷やし方です」
(Q.手を尽くしても具合が戻らない場合は医療機関へということですね)
三宅康史医師
「20~30分みて回復してこない場合には、医療機関に言っていただいた方が安全だと思います」
