■「総合的に性能が高いと言っていい」Kimi K3の実力と中国の技術力
北陸先端科学技術大学院大学の客員教授で、AI研究者の今井翔太氏は、Kimi K3の性能について「非常に性能が高いと見ていい」と話す。AIの評価指標であるベンチマークについては「ハックが可能で、高いスコアを出しても実際には使えないということが結構ある」と前置きしつつ、「今回はそれもなかった。実際にユーザーが使ってみて本当にすごいとなっている。プログラミングや半導体設計など、総合的に性能が高いものと言っていい」と評価する。
なぜここまで急激に性能が向上したのか。「テクニカルレポートが出されるということで、正確な意見はそれを見てからになる」としつつ、「普通は、上流という性能の高いAIから小さいモデルへ性能を移す技術をやるが、Kimi K3は非常に性能が高いので、上流する相手はFable 5やGPT-5.6 Solしかいない。それらが公開されていた期間は数日間ほどで、その短期間でまともな上流ができたとは思えないし、それが高い性能を説明する要素にもなっていない。ムーンショットが非常に頑張ったんだろうなというのが率直な評価だ」。
また、ムーンショット社の創業者ヤン・ジーリン氏については「AIの神様と呼ばれ、ノーベル賞を受賞したジェフリー・ヒントン氏の孫弟子にあたる。本人も今の生成AIにつながる技術を直接研究していた人で、そのチームから出てきた企業として非常に注目している」と説明する。
■オープンモデルがもたらすインパクト
アメリカ国内での中国製AIのシェアについて、2025年初頭の10%未満から、直近では63%にまで上昇しているというデータが示された。今井氏はこの数字を踏まえ、「アメリカで中国AIを規制するかどうかが完全に分裂している。中国のAIが脅威だという話になれば普通は一致団結しそうなイメージがあるが、逆に、もうみんな使っちゃっているので今更規制はやめてくれという声が政治の表面に出てきている状況で、それを示している数字だ」と述べる。
Kimi K3がオープンモデルかつ低コストであることについては「オープンAIやアンソロピックには特に非常に脅威になると思う。誰でも使えるオープンモデルが現れて、みんながダウンロードして自分のサービスに組み込んで使うとなると、AIしか事業がないところは売り先がなくなってしまう」と分析する。
AI全体の覇権という観点では「少なくとも人工知能の技術本体に関しては、アメリカと中国にそんなに差はない。ただ半導体技術については、輸出制限や製造装置の規制も受けている状況なので、さすがにまだ同等とは言い難い」。
■「AIが勝手にカンニングした」
