
お盆休みの記録的な豪雨で、千葉県での死者が10人となりました。水没した車の中で亡くなった人や路上で溺れて亡くなった人もいました。どうしてこういう事態が起きたのか、取材しました。
冠水道路に進入 車が水没
地鳴りのような音をたてながら、マンホールから噴き出す水。バチバチと打ちつける雨で、住宅街の道路が冠水していきます。
13日、千葉県柏市では午後になり、雨脚が強くなっていました。
救助に関わった男性
「夕方5時…そうね、10分過ぎぐらいじゃなかったかな」
「(Q.もう噴き出しているような状態ですね)きょうは強い雨だな、もうしばらくすると冠水するぞなんて思いながら、出てきたんですよ」
降り続く雨が心配で、近所の様子を見に出たという男性。雨水は撮影する男性の足首辺りまで達しています。
低い場所には、高い場所からどんどんと水が流れ込んでいきます。完全に交差点が見えなくなっています。地面が全く見えていません。
「もう地面は全然見えないですよ」
街灯が点灯し、辺りが薄暗くなってきた、その時でした。冠水した道路に車が進入、動きが取れなくなります。
「(Q.見た時、びっくりしましたよね?)そりゃ、びっくりしますよね。ダメだダメだ、行っちゃダメだって言っているうちにドーン、ぷかぷかと」
「車はどんどん流されていく。しょうがないから泳いで、車の上に、屋根に上ったんですよ」
ハンマーで決死の救出作業
その時の様子を別の住民が撮影していました。
進入してから6分後、車は完全に水没し、白い屋根だけが見える状態。そこに泳いで近づいていく男性の姿が映っていました。屋根に上り救助が始まります。
救助に関わった男性
「まずはガラスを割った方がいいよと。そこの植え込みから植木用の鉄パイプ(別の住人が)放り投げてくれて、で前を割ろうとしたんだけれど、前は割れづらくて、後ろの方に行って後ろを割ったんです」
そして、手探りで車の中から男性を引っ張り出し屋根の上に…。この時、別の住民も駆けつけ、2人で救出にあたりました。
「助け出したご主人に『まだ中に誰かいるのか?』って言ったら、声は出ないけど、うなずいてくれて」
その後、住民から手渡されたハンマーで助手席の窓を割ると…。
「今度、私が水に入って、胸まで入って、肩を入れて、探ったら腕につかまって、それで反応はなかったんです。それで(奥さんを)引っ張り出して、後から参加してくれたご主人(住民)と一緒に屋根の上に」
「(Q.引き上げて?)引き上げて、その時点ではもう呼吸もないし、意識もないし」
その後、レスキュー隊が到着。搬送されたのは70代の夫婦。妻は死亡が確認されました。
普段は使い慣れた生活道路
この夫婦を知る近所の住民はこう話します。
「1週間前、町内でお葬式があって、お会いしたばかり。ご主人は以前、町会の仕事を熱心にされていた。奥様も優しくて、社交的な仲の良いご夫婦でした。事故の話を聞いてびっくりしています。残念です」
過去にも冠水したことがあるというこの道路。夫婦の近所に住む住民はこう話します。
「この辺りは道幅が狭く、買い物に駅方面に行く場合は、その方向に一方通行になっている道がある。帰りはその道を戻れないので、少し遠回りだけど、比較的道幅の広い、あの道を使う方は多いと思う」
住民にとって、普段は使い慣れた生活道路だったといいます。
見えない…冠水道路の死角
一体なぜ、車が水没してしまうほどの大量の水が住宅街に流れ込んでしまったのでしょうか。
元消防士で防災のスペシャリスト・野村功次郎氏と現場を訪ね検証しました。
「地形的に見ると、東西なおかつ南北の水が一番低いところに一番テンション(圧力)がかかる。(水が)集まりやすい場所というのが見受けられる」
車が水没した場所は、周りに比べ低い場所になっていることが分かります。
四方八方から大量の雨水がこの場所に集中したことで、夫婦の軽自動車が完全に水没するほどの水がたまったと考えられます。
では、なぜ車は冠水していた道路を進んでしまったのでしょうか。
映像を見ると、車はスピードを落とさず、水の中へ進入していったように見えます。
「事故があった下り坂にかかるのですが、この状態でも一番低い部分は非常に分かりづらい。まして雨が降って薄暗ければ、もっと視界が狭くなって分かりづらい状況だったんじゃないかと思います」
「仮に水面が2メートル弱あったとしたら、前方の薄い青い車、軽自動車の屋根辺りまで、水面が道路に見えてしまう。勘違いしてしまうということも、あり得たかと思います」
専門家が指摘した排水管
映像では車が進入する直前、白い車のタイヤ半分ほどまで水がたまっていることが分かりますが、目の前は平らな道路のようにも見えます。
実際には下り坂。走り慣れていたはずの道は、青い部分が冠水していたのです。
さらに、野村氏が指摘したのは排水管です。
「(直径)20センチ弱ですが、おそらく(雨量)60ミリだったり50ミリ程度で、それが1時間、2時間ぐらいの想定の(排水)設計だと思います」
「100ミリ相当ですと、これではとてもじゃないですが、(排水が)追いつかない」
「急な坂道、そして一点集中型で水がたまりやすい箇所だった。まさに起こるべきして起こった場所、現場ではないか」
田んぼの真ん中にタクシー
車の水没による人的被害は佐倉市でも起きました。田んぼの真ん中にタクシーが止まっています。
水没したタクシーがここまで流されたのでしょうか。運転手は屋根に避難し救助されましたが、車内に取り残された乗客の66歳女性が亡くなりました。
路上で溺死 住宅街で何が
佐倉市の男性が溺水(できすい)し、死亡した現場周辺。周辺よりかなり低い位置にあり、15日も背丈ほどの柵に流されてきたとみられる草や枝が残っています。
水が引いた後に撮影された写真。動けなくなった車が残されています。
冠水していた時と比較すると、冠水時には車の屋根しか見えず、カーブミラーも半分ほどの高さまでつかっています。
近隣住民
「(Q.この辺りに溺水した方がいた?)いるんです。ちょうど私たち、そこで見ちゃったんです。1人は救助、間に合って助けてもらったんですけど」
「女の方がそこの網にぶら下がってて、そこからうまく(伝って)行ったんですけど。もう一人の男性の方は流れてきて、あっちの方に。水が引いていった時に埋まっているのが見つけられて、消防隊の方が命の確認をして…」
冠水で“坂の下”の危険
人をのみ込むほどの冠水。なぜこのような事態になってしまったのか。
近隣住民
「あっちから水が流れてくるでしょ。それでこっちからも来るでしょ。ちょうどここが合流したところ。だから、一番すごい水流っていうかね」
この周辺は坂に囲まれていて、これまでも大雨が降ると、水がたまりやすい場所だったといいます。
さらに、水位が高まる早さについても…。
近隣住民
「一気にきて、一気に下がるみたいな感じでした」
「もうあっという間でした」
(2026年8月17日放送分より)
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