キャラクターそれぞれの“個性”を浮世絵の手法で表現
今回の3枚の作品は、最終決戦をイメージして描かれたものだ。緑谷出久・爆豪勝己・轟焦凍、それぞれの絵を3枚並べたときに繋がるように作られている。ポージングは竹中氏自らがとって、絵師の野嶋一生氏が描く、という形で決めていった。
「アニメを見て、この子らの戦い方を覚えて、タイプ別に考えていきました。デクくんやったら、いろんな“個性”を継承しているので、アルティメット系の形。色々合体してる総合格闘技みたいな感じで、アクロバティックでもあるし、伝統的でもある。轟くんはそば好きだったり日本の和の感じがある。なので、伝統的な空手の形に。爆豪くんはアクロバティックなんで、スノーボードで空中を飛んでる感じのイメージで作ってあります。僕が武道やスノーボードをしているので、その感覚でモデルとしてポーズをとり、最終的な形を決めていきました」
(全体監修・摺師 竹中氏)
また、キャラクターの背後に描かれた背景の絵には、購入者が作品を手にした後の楽しみを考えた仕掛けがさりげなく施されている。「爆豪が好きな人は爆豪を真ん中に置けるように、デクが好きな人はデクを真ん中に置けるように。どこにどう置いてもいいように考えて、幾何学のデザインで作った。それぞれ、少しずつキャラクターのイメージに合わせて形状を変えて表現している」と竹中氏は語る。
緑谷出久
様々な技を身につけた緑谷出久は、総合格闘技をイメージしたアルティメット系のポージングに。また、緑谷出久の強い正義感やアクロバティックな動きをイメージしてデザインされている。
爆豪勝己
爆豪勝己は、爆破という彼の“個性”からアクロバティックな動きをイメージし、スノーボードで空中を舞うようなポージングで描いている。また、爆豪勝己の負けず嫌いで向上心の強い性格を、背景の縦に伸びるスクエアモチーフで表現した。
轟焦凍
半冷半燃の“個性”をもつ轟焦凍は、蕎麦好きであることから和のイメージを膨らませ、伝統空手の型を参考に描いている。また背景は、轟焦凍の寡黙で冷静な性格から、整然としたモチーフでデザインしている。
「浮世絵」として描くにあたって意識したこと
元々のアニメを踏襲しながら、浮世絵という全く異なる画風やセオリーに落とし込む。線一つとっても、緻密に考え抜かれた絶妙な塩梅で仕上げられている。
「3人の顔を浮世絵の特徴を持った感じで描くために、線や色は工夫していますね。この黒い輪郭線があるんですけども、これは浮世絵っぽいというか、今の描き方ではない線の感じなんですね。太なったり細かったりしてる。カクカクしてたりとか、ストレートじゃないんですよね。昔は筆で描くんで。筆は細いところ、太いところと強弱を持っている。その力の加減を見せるっていうのができる。綿々と続いた日本の技やから、この線が出る」
(全体監修・摺師 竹中氏)
また、作品の画面上部に見られるような繊細なカラーグラデーションも浮世絵ならではだ。光に透かせばその高い技術力がなせるフラットな表現に息をのむ。これも本作品の見所の一つである。
「このぼかしも、木版画独特ですよね。(…中略…)僕が江戸時代の浮世絵木版画らしい色を少し考えつつ、この3人のカラーイメージを持って現代に合わせた色に仕上げていきました。」
(全体監修・摺師 竹中氏)
アニメへのリスペクトを込めて新たなアートピースに昇華
摺師を務めた竹中健司氏と、絵師・彫師を務めた野嶋氏。今回の制作にあたって、アニメを深く読み解くことで挑んだ。その制作過程では、直接ではなくとも作り手同士のセッションがあった。
「今回の僕の絵はアニメを写しているわけではなくて、自分で描いてるんですけど、どのように描いても“彼ら”になる。こういう風な表情だろうとか、こういう風なものをつけているであろうっていう。どういう風に描いてもこのキャラクターになるっていうのは、原作の漫画の先生であったりアニメの作家、監督さんとか、キャラクターを作ってはる方々の描き方っていうのはすごいもんなんやなっていうのを改めて思いました。僕はそれを線で起こすときに、自分で引いてる線っていうのが、描かはったキャラクターからかけ離れてないかを考えてたし、圧倒的な人気のあるキャラクターにアプローチするっていうのは面白いことだなと思いました。(…中略…)今回、僕らに依頼された担当の方が話された内容も聞きながら作ってますので、いろんな人のエネルギーから出てきているもの。なので、より作ってて愛おしいなっていうのがありますね」
(絵師・彫師 野嶋氏)
(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会
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