■科学的に有利なのは? スポーツ流体工学から見たユニフォームの機能性
では、女子選手に多い「お腹の出たセパレート型」と、男子選手に多い「お腹の隠れたユニフォーム」では、どちらがパフォーマンスに有利なのだろうか。
スポーツ流体工学を研究する工学院大学の瀬尾和哉教授によると、「腹部を出すことで動きやすさや放熱といったポジティブな側面はある」としつつも「(科学的に)お腹がむき出しになっているよりも、ユニフォームで覆った方がいい」のだという。
瀬尾氏によると、体にぴったり合ったユニフォームを着用すると、空気が体の表面に沿ってスムーズに後ろに流れていく。しかし、お腹の部分がむき出しになっていると風をコントロールする生地がないため、どうしてもデコボコが生じて風が体の表面から離れてしまう。その結果、背中側に空気の渦ができてしまい、体を後ろに引っ張るブレーキになるという。
お腹が隠れていても、体にフィットしていない服であれば生地がバタバタと揺れ、空気の渦がさらに大きくなってしまう。そのため、空気抵抗だけを考えた場合に最も効率が良いのは「体にフィットしてお腹まで覆っているユニフォーム」であり、次に良いのが「セパレート型」、最も抵抗が大きいのが「ゆったりしたタイプのユニフォーム」となる。
また、女性選手に多い「胸をしっかり支えた方がいいのではないか」という観点について、瀬尾氏は、揺れによる不快感やエネルギー消耗を抑える効果はあるものの、空気抵抗を減らして速度を上げるという面においては特に影響はないと解説した。
科学的な効率性はあるものの、何を着るかは最終的に選手自身の精神面に左右される。三輪氏は「人間がやることなので、すごくメンタルで左右される。だから、ユニフォームによってメンタルの状態が変わるのなら、工学的な理由よりも、もしかしたらメンタルの方が影響が大きいかもしれない。トータルで考えると、やっぱり自分で選べばいいという話になる」と語り、アスリート自身が自由にユニフォームを選択できることの重要性を訴えた。
(『わたしとニュース』より)
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