——そこはいろいろな人の仕事が加わる映像作品ならではのポイントですね。虚淵さんが脚本段階で追加された要素はどんな部分になりますか?
虚淵:追い求めてきた「マルグリート」が自分自身だった、という部分は足させてもらいました。マルグリートという存在が誰なのかわからないまま、まどかをそうだと思って付きまとっているという内容だったのですが、これを自分自身の生前のことだという形にすることでお話ができ上がると思いまして、追加させてもらった要素になります。
——そこから、虚淵さん自身が脱稿されたあとにもいろいろと調整が入っていったという。
虚淵:けっこう紆余曲折ありまして、まったくガラッと変えるというようなお話も伺っていたんです。「魔法少女まどか☆マギカ10(展)」の頃に、初稿に戻しますということを言われて、そこからもさらに間が開いて大きく変わっていったので。
編注:「魔法少女まどか☆マギカ10(展)」は、2021年9月から2022年6月にかけて全国で開催された展示イベント。
——ちなみに、虚淵さんが書かれた終盤のシークエンスはどういった内容だったのですか?
虚淵:僕の脚本だともっとざっくりとしていました。壮大なフィナーレ感のある展開にしてもらえたので、よかったなと思っています。もともとまどかに比重を寄せたいということは、前々から新房さんがおっしゃっていたことだったので、それがあっての調整だったと思います。
僕の脚本ではちょっとほむら寄りと言いますか、まどかがそこまで活躍しない内容だったので。そこをどう直すのかという部分で、(公開まで)長く時間がかかったのだろうなと。
——拝見して、『ワルプルギスの廻天』全体を通じても、やっぱりまどかとほむらの2人の少女のお話が根幹にあるのだと改めて思いました。ほむらに寄っていたとのことですが、虚淵さんはほむらという少女をどのように捉えていたのでしょうか?
虚淵:そうですね、黒幕と言いますかゲームキーパーと言いますか。いわゆる経営シミュレーションゲームのように、リソース管理をして箱庭を長く維持させるゲームのプレイヤーというイメージなのですが、自分が作った箱庭をどれだけ維持できるかというチャレンジをしている廃人ゲーマーという印象かなと。
無理ゲーをプレイしているようなしんどさがあるので、そういう意味では主人公たり得るとは思っていました。
——言い得て妙ですね(笑)。まどかに関してはいかがでしょう?
虚淵:まどかはダモクレスの剣(豊かに暮らしているなかに危険が迫っている状態)と言いますか、この子が倒れたらすべてが終わってしまうというゲームの肝の部分ですよね。この子をまっすぐ立たせるために整えていかなくてはいけないゲームのゴールでもあり主役でもある存在。
僕の中では、ほむらがまどかを守り追いかけ続けるお話なのですが、その辺りの解釈は、作品に関わるスタッフがそれぞれ違ったものがあると思います。そこがやっぱり、制作に長い時間がかかってしまった理由な気がしています。
——ありがとうございました!
脚本開発の一端を知った上で、改めて細部に注目して『ワルプルギスの廻天』を見て考察してみるのも一興だろう。
テキスト/kato
(C)Magica Quartet/Aniplex,Madoka Project
