
政権交代が繰り返されてきたイタリアで、メローニ首相が戦後最長の連続在職日数を更新した。就任前は“極右”とも言われ、警戒する見方もあったが、なぜ異例の長期政権となったのか。
財政赤字を縮小、失業率改善
まずは異例の長期政権の要因をみていく。今月4日、イタリアのメローニ首相の連続在職日数が1413日となり、2005年にベルルスコーニ元首相が樹立した戦後最長記録を更新した。
イタリアは戦後、68もの政権によって運営されてきた。ロイター通信によると、首相の平均在職期間は約14カ月。これは日本の平均の総理在職期間と同程度で、短命政権となっている。
なぜメローニ首相はイタリア国民から支持されているのか。
一つめは国内政策の評価が高いことだ。イタリアの統計局によると、メローニ政権が発足した2022年、イタリアの財政赤字は対GDP比で8%だったが、去年には3.1%に赤字が縮小している。
では、どのようにして財政赤字を縮小させたのか。
イタリアはコロナ禍に「スーパーボーナス110%」という制度を開始したが、この制度は住宅を省エネ化させたり、耐震化させたりする際の改修費用を最大で110%税額控除するものだった。つまり、かかった費用以上にもらえる制度になっていたため、想定を大きく上回る利用が殺到し、結果として財政赤字が急激に悪化する大きな要因となっていた。メローニ政権は、この控除率を半分近くにまで引き下げたことで、財政赤字を縮小させたという。
また、イタリア統計局によると、メローニ首相就任時の2022年10月の失業率は7.8%だったが、今年7月には5.8%にまで低下させたという。
改善した要因の一つに、無期雇用されたことのない35歳未満の若者を正社員として採用した場合に、雇用主が負担すべき社会保険料を最大で24カ月間100%免除するという政策で、今年1年間実施している。
さらにメローニ政権は不法移民への対応の厳格化を掲げていて、密航船の取り締まりを強化するなどして、2023年時点で約15万人到着していた移民を、去年は約6万人にまで減少しているという。
「トランプ批判」を国民が支持
メローニ首相は外交面でも高い支持があるという。
首相就任前はEUに懐疑的な姿勢を見せていたメローニ氏だが、首相に就任してからはヨーロッパ各国と足並みをそろえて、ウクライナへの支援を継続している。
また、アメリカのトランプ大統領との関係でいうと、「欧米の橋渡し役」を自任してきたメローニ首相だが、アメリカの対イラン軍事作戦などを巡り、関係はギクシャクしている。
さらに4月、トランプ大統領がローマ教皇レオ14世にSNSで批判した際には、メローニ首相は「(トランプ氏の投稿は)容認できない」とトランプ大統領を批判した。
イタリアの世論調査会社が6月に行った調査では、こうしたトランプ大統領へのメローニ首相の対応について、「正しい」と評価している人が7割を超えたといい、これはメローニ首相の支持を強固にする一因にもなっている。
長期政権に暗雲?
長期政権を築いているイタリアのメローニ首相だが、来年の総選挙で勝利できるか不透明な状況だという。
イタリアの世論調査会社が今月4日に発表した調査では、メローニ首相が率いる与党の右派政党「イタリアの同胞」の支持率が26.5%に対し、野党で中道左派の「民主党」の支持率が22.2%と、「イタリアの同胞」に肉薄している。
さらにロイター通信によると、与党連合よりも野党の中道左派陣営のほうが支持率では上回っている。その理由として、与党連合支持者の一部が極右政党「国民の未来」に流れたからだと報じている。
その極右政党「国民の未来」とは、どういった政党なのか。
与党右派連合の一角を担う右派政党「同盟」から、今年2月に離脱した一部議員らを中心に結成された。党首のロベルト・バンナッチ氏(57)は元陸軍将軍で、AP通信によると、著書の中で性的少数者や移民を厳しく批判したことで有名となった人物だという。
党の移民政策では現在の与党よりも強硬な立場を示し、EUにも批判的な立場を貫いている。総選挙の結果に影響を及ぼす可能性も浮上している。
実は、かつてメローニ首相も同じ行動に出たことがあった。
メローニ氏はベルルスコーニ氏が率いる右派連立政権時代、2008年に当時31歳の最年少で閣僚に抜擢(ばってき)されたが、その後、2012年にベルルスコーニ氏のもとを離れ、右派政党「イタリアの同胞」を立ち上げた経緯がある。
(2026年9月9日放送分より)
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