TVアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』は、2011年の放送以来、圧倒的なビジュアル表現と奥深いストーリーでアニメファンの記憶に残る作品となった。
2012年に公開されたTVアニメを再構成した『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編]始まりの物語/[後編]永遠の物語』の前後編2作、2013年公開の『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語』を経て、その人気はアニメファン以外にも波及していった。
2026年8月28日(金)には、シリーズ13年ぶりの完全新作となる『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』が劇場公開された。
シリーズを通じて、主人公・鹿目まどかの運命を変えるべく奔走する暁美ほむらを演じる声優の斎藤千和に行ったインタビューにて、多くの人に影響を与えた『魔法少女まどか☆マギカ』という作品の魅力について話を伺った。作品全体、そして自身の演技のキーワードとして挙げられた「余白」についての内容を、本記事でお届けしよう。
——『ワルプルギスの廻天』を見るにあたって、過去作はなるべく見ておいたほうがより楽しめると思っているのですが、斎藤さんは本作の収録にあたって過去作は見返しましたか?
斎藤:見返しました。やっぱり見てもわからないんだなと思ったのですが、(TVシリーズを演じていた)当時は今から15年以上前になりますが、そのとき私はギリギリ20代で、仕事を自分でコントロールできるようになってきた感覚があったものの、『まどか☆マギカ』は圧倒的にわからなくて。よくわからないまま、でもとても面白いと思って演じていたんです。
——年月が経って改めて見ても、わからないものだったという。
斎藤:でも(完全にわからないことがある)余白がこの作品の魅力なのだと改めて思ったんです。その余白があるからこそ、みんなが忘れられない。これは結局どういうことだったのだろう? という強烈な印象が頭にこびりつくと言いますか、答えがちゃんと出ていたら、もうちょっと忘れられてしまっていたかもしれないなって。
——明確な答えがないからこそ、考える楽しさも生まれますよね。
斎藤:答えが出ないことが最大の魅力で、答えがなんであるのか考えることが楽しくなる作品。だから見る人によって全然違う印象を持っていたり、見ている場所が違っていたりするのですが。
「わからない!」ということがひとつの答えでありつつ、とにかく新しいものが生まれているのだと当時も思っていたのですが、時間が経ってから見たことで、唯一無二のものが生まれていたのだなと感じました。
そして『ワルプルギスの廻天』でも「これこれ! この感じ!」という『まどか☆マギカ』のエッセンスを浴びることができて、その思いが強くなりました。
『まどか☆マギカ』の取材を受けていていつも思うのですが、みなさんのなかにいろんな考察があるんですよね。みなさんの想いや視点があって、聞いていて楽しくて、「なるほどそういう視点か」って思います。きっといろいろなアニメや映画を見ていらっしゃる方でも、いっぱい考えて自分の答えを出していくその余白がすごく魅力的だと感じます。
私も作品を送り出す側として意識していることはあって、それはとにかく余白を作る。答えを私が出さないということです。そこはすごく意識しています。TVシリーズのときからそうだったのかと言われたら、そんなことはなくて、当時は自分が受け取ったものを最大限やろうという姿勢だったのですが、『[新編]叛逆の物語』のときにその意識に少し気づいて。
すでに私の頭では追いつかない内容になっていたので、賛否両論あると思いますって(『[新編]叛逆の物語』公開当時)いろいろなところで言っていたのですが、見ていただいた方がものすごく絶賛してくれて、みんなが求めている『まどか☆マギカ』のひとつの形はこれなんだということを実感したんです。
そのことがあるので、13年間も経ってしまったけれど、待っていた人であればあるほどこれはもう『まどか☆マギカ』だと思っていただけるという想いが、すごくありますね。
「お芝居で説明しすぎない」
