
非結核性抗酸菌症、いわゆる“NTM症”というせきやたんが長く続く、感染症の患者が増加しています。
20年ほど前にNTM症と診断された女性。
健康診断で、肺に“影”が見つかったのが始まりでした。当時は、自覚症状がほとんどなく、症状に悩まされ始めたのは、その2年後でした。

NTM症患者(60代)
「外出先とかでせきが止まらなくなることが、結構、あって。ほかにも胸の痛みとか、背中の痛みとか、寝汗をかいたり。あと血痰(けったん)が出たりですね」
その後も、せきやたんが続きました。
診断から約10年後。さらに大きな異変が訪れました。
NTM症患者(60代)
「喀血(かっけつ)をした。やっぱりレベルが違う恐怖が喀血(かっけつ)にはある」
そこで、初めて専門病院を受診。肺の一部が傷つき、空洞ができていることがわかりました。

NTM症の新規患者数は、年間約2万人で、20年前の3倍にまで増えています。
こうしたなか、厚生労働省は24日から、初めて早期受診を呼び掛ける啓発週間を始めます。
『NTM症』とは、細菌によって肺に感染症を起こす病気で、主な症状は、長引くせき、たん、発熱、呼吸困難など、一般的な風邪と似ていますが、大きく違うのは、その“症状の長さ”です。
実際にNTM症の患者の治療をする大阪大学の忽那賢志教授に聞きました。
忽那教授は「NTM症は抗生物質が効きにくく、治療が1年以上の長期間になる場合もある」といいます。

厚生労働省によりますと、「NTM症の細菌は、土の中などの自然環境や、浴室のシャワーヘッドの中、水道の蛇口に生息。それを吸いこんで、肺内で増殖すると発症する」としています。

忽那教授は「菌を吸い込んでも、ほとんどの人は発症しない」としています。ただ、原因は、はっきりわかっていないとのことですが、「現場の医師の実感としては、NTM症の患者が増えていて、“やせ型の中高年女性”の患者が多い」といいます。また、「過去の結核の後遺症や長年の喫煙などで、肺にもともとダメージがある人は、菌が肺の中に住みつきやすく、NTM症を発症しやすい」としています。

この病気で、まず覚えておくこととして、忽那教授は「人から人への感染はない」といい、新型コロナのような人との接触、飛沫を避ける対応は必要ないということです。もう一つ、大事なことは“早めの受診”です。「NTM症を“軽い風邪の症状”だと思い込み、放置すると、数年かけてゆっくり進行し、呼吸不全に至ることもある」としています。

忽那教授は、NTM症を疑う症状として、「せきやたんが1カ月以上続く。たんの中に血が混じっている。せきが続くなかで、体重も減少している。こうした症状が1つでもあれば、受診してほしい」と話します。
