■「無」からの起業と、資産6000万円でも踏み切れない葛藤
20年間勤めた会社を辞め、8カ月間のキャリアブレイクを経験した40代の小川加奈子さんは、「長年同じ業界にいて少し飽きを感じたため、次の予定を決めずに一度社会的な『無』になってみたかった」と語る。
ブレイク期間中に全く異なる現場のシフト制アルバイトを経験したことで、社会を見る視界が広がり、お金だけでなく健康や人間関係など、自身が持っているあらゆる「資本」を俯瞰して見直す機会になったという。その後、挑戦への意欲が湧き、自ら起業を果たした。
一方、関心を持ちつつも踏み切れずにいるのが30代会社員の鈴木さんだ。6000万円の資産に加え、副業で月30万〜40万円の収入があるものの、今後の教育費や住宅費を考慮すると十分とは言えないと感じている。さらに「休む期間の目的を明確に言語化できていなければ、ただ1年休むだけで選択肢を狭めるリスクがある」と、キャリア面での不安を明かした。
■ブレイクを可能にする「3つの条件」と「手放す勇気」
キャリアブレイクの支援活動を行うSEKAIA株式会社CEOの薄井シンシア氏は、決断に迷う人に対して「ランニングコスト(生活を維持できる資金力)」「本人のスキルと労働市場での復職可能性」「最悪の場合、年収350万円から再出発する覚悟」という3つの条件を提示し、これらをクリアできるかで判断するよう助言した。
また、防衛研究所上席研究官の高橋杉雄氏は、「忙しい時は将来を考える余裕がないため、ブレイク期間中に成果を求めず、まずは休むことから始めてもよい」と指摘する。自身もかつてメディア露出の多い立場から役所の希望部署へ移った際、世間から自身の専門性が一時的に忘れられる体験をしたという。
「続けて得られるものは目に見えるが、辞めて失うものは目に見えない」と高橋氏は語り、キャリアを一時的に手放す難しさに触れつつも、新しいものを手に入れるための助走期間としての意義を提示した。
(『ABEMA Prime』より)


