
今年のノーベル化学賞に東京理科大学名誉教授の硤合憲三さん(76)が選ばれました。生命の起源に迫る研究だと評価されています。小学校の同級生は、硤合さんについて「天才肌ではなく努力家だった」と語っています。
【画像】東京理科大学で40年以上研究 現在は名誉教授を務める硤合憲三さん(76)
日本人が2年連続で化学賞
ノーベル化学賞の受賞が決まった硤合憲三さん。
「職員、事務の方、学生の力なくしては見つけることができなかった。非常に感謝している」
「受賞できても、文句は言われないだろうと…」
日本人の化学賞受賞は2年連続、通算10人目となる快挙です。
「広島県民として名誉。誇りに思います」
「なんかうれしいですね。明るいニュース」
各地で歓喜の声が広がるなか、番組では小学校からの同級生・白井孝司さんに硤合さんの素顔を取材しました。
「頭は良かったんですけども、天才肌じゃなくて努力家。目的に向かって、本当にコツコツと真面目に進むタイプ」
類まれなる忍耐力と地道な努力でつかんだ研究成果。その飽くなき探究心は受賞が決まってもなお…。
「完全に解明したわけではない。まだ面白いことがあるはず」
近所のスーパーで電話受け
「(Q.受賞の知らせは?)近所のスーパーマーケットで食材を買っていた。電話を受けた時は、1人で買い物に行ってた。正式発表までは誰にも言わないようにと電話を受けました」
受賞の連絡を受けた時の様子を赤裸々に語る硤合さん。スウェーデン王立科学アカデミーは、2026年ノーベル化学賞をアンリ・カガン教授と硤合憲三教授に授与しました。
ノーベル賞の選考委員が早速、埼玉県にいる硤合さんに電話をつなげると…。
「(Q.グッドイブニング、ハロー)ノーベル賞受賞という大きな朗報を受け、胸が高鳴る思いです。私の人生で最も刺激的な日と言っていいでしょう」
7日午後8時すぎ、東京・有楽町では、号外が配られていました。皆さん、続々と受け取っています。
日本からのノーベル賞受賞は3年連続で、アメリカ国籍を取得した人を含めると31人目、化学賞の受賞は2年連続となります。
「受賞でも…」会見で笑顔
受賞の発表を受け、埼玉県の自宅から会見場となる東京理科大学に向かう硤合さん。
「非常にこの分野の研究価値が広く皆さんに知っていただける。大変うれしく思ってます」
硤合さんは1950年5月生まれの76歳。東京理科大学で40年以上研究を続け、現在は名誉教授を務めています。
去年、優れた業績を挙げた研究者に贈られる日本学士院賞を受賞しています。
「(Q.ノーベル賞受賞は想定外?)自分で言ったらちょっとおこがましいですが、受賞できても文句は言われないだろうなと。喜ばしいことです」
世界初の発見「Soai反応」
今回受賞理由となったのは、硤合さん自身の名前が付けられた「硤合反応」と呼ばれる自己増殖のメカニズムの発見です。
「分子が自分で自分を作る自己触媒。生物は親が子どもを産む。広い意味で言うと自己増殖する。私どもの研究は、キラル鏡像異性体の一方が自分で自分を作る、不斉自己触媒反応というのを見いだすことができました」
ノーベル委員会は、硤合さんらの研究について「医薬品などの製造のための反応を開発する化学者にとって革命的なものだった」と評価しました。
「基礎に近いことだと思う。評価していただいたのはうれしい」
生命の起源そのものに迫る研究は最先端医療に直結し、安全な新薬開発につながることが期待されています。
「研究していて苦しかったことは、なかったとは言えないが、全然覚えていないというか気にもしていない。傍から見たら苦しいことが続いていたかもしれないけど、全然本人はそうは思っていない。楽しいというか感動したことはありますね」
教え子ら祝福の声 人柄は
長年研究してきた成果が認められた硤合さん。
「職員、事務の方、学生の力なくしては見つけることができなかった。非常に感謝している」
東京理科大学ではかつての教え子であり、今では同僚の田所誠教授も喜びをあらわにします。
「すごい先生だなっていうのに尽きる。(性格も良く)知らない人でも、学生にもちゃんと気遣いできる」
東京理科大学の学生からも…。
「うちの先生が…最近まで一緒に飲んでた、ご飯行ってた人が取るとはって」
さらに、高市早苗総理大臣からも、硤合さんに向け祝福の言葉がありました。
「ノーベル化学賞の受賞を受けて、誠におめでとうございます」
「日本人として、とても誇りに思っております。この後、記者会見を控えておられると承知してますので」
これから大忙しとなる硤合さんを気遣うも、硤合さんは気遣いで返します。
「ありがとうございます、総理も非常に日本と世界のために毎日すごく働かれてお体に気を付けて…」
親族「探究心が印象的」
長年受賞を信じていた親族、おいの硤合真大さんはこう話します。
「いつか取るとは思っていた、どんな形であれ。探究のカタチがひとつ実ったのではないか」
真大さんは硤合さんのある“性格”が印象的だったと話します。
「なんでも興味持っている。探究心が印象的」
「物事に探究心を持って、それを継続していて、いろんな発見をして…」
この飽くなき探究心は、小学生のころから培われていました。
「天才肌ではなく努力家」
広島で育った硤合さん。小学校から高校まで同じ学校に通った同級生の白井孝司さんは、硤合さんについてこう語ります。
「頭は良かったんですけど、天才肌ではなく努力家の方です。中学、高校、大学とずっと(努力が)続いていたと思います」
学生時代から努力家だった硤合さん。目立つタイプではなく、陰で地道に努力を重ねるタイプだったといいますが、こんなエピソードもありました。
「いじめっ子に対応してくれてたり、正義感をむき出しにするやつ。先生にもいろいろズバズバ意見を言ったりする人間でした」
小学生のころから芯が強く、コツコツと真面目に目標へと突き進んだ学生時代。そんな硤合さんは、勉強だけでなく…。
「運動も結構、万能選手。硤合君はなんでもこなしていた。中学校に入ってから、バスケットボールをやっていたんです。もう一言で言ったら、文武両道です」
同級生が明かす素顔
幼いころから培われた硤合さんの人柄は、不斉自己触媒反応の研究に取り組む姿勢を支え、ノーベル化学賞受賞への礎となりました。
同窓会では、研究の話をすることもあったといいますが…。
「研究の話を誰も聞かない。難しすぎて」
しかし、白井さんたちが思っていたのは…。
「何年も前から彼はノーベル賞を取ると、まあ冗談交じりに話をして、それが本当になるので、みんな喜んでいます」
努力家で強い探究心。そんな硤合さんだからこそ、会見ではこんな言葉も出ました。
「完全にまだ解明したわけではないので、まだ分からない面白いことがあります。あるはずなので、今後もそういった分野の研究が進むように、微力ながら尽力したいと今考えております」
(2026年10月8日放送分より)
この記事の画像一覧
