『天才!志村どうぶつ園』で国民的スターとなったチンパンジーのパンくん。現在、SNS上では「野生化した」「凶暴化した」といった根拠のない噂も飛び交っているが、25歳の誕生日を迎えた彼の姿はどうなっているのか。育ての親であるアニマルトレーナーの宮沢厚さんを訪ねると、現地で見たのは噂とは異なる意外な姿だった。引退のきっかけとなった事故の裏側や、志村けんさんとの感動エピソードとともに迫る。
2001年に生まれ、今年で人間で言えば50歳ほどの「初老」を迎えたパンくん。SNSで「野生化した」「麻酔で殺された」などと事実無根のデマが拡散されるなか、誕生日プレゼントとして志村けんさんとよく食べていた大好物の「うどん」を出されると、器用に箸を使って平らげた。宮沢さんには首に抱きついて甘えた声を出すなど、穏やかで愛らしい姿は健在だ。宮沢さんも「なんでデマってこんなに拡散するの」と戸惑いつつ、「ちっちゃい頃から私といた記憶が楽しい思い出として残っているから、いまだに仲良く抱きついてくれる」と目を細める。
生後間もなく人工哺育となり、2歳から宮沢さんに育てられたパンくん。「この子はダイヤモンドの原石だとすぐに分かった」という宮沢さんの言葉通り、2004年に番組へ出演すると、志村けんさんとの息の合ったコントなどでまたたく間に人気者となった。
宮沢さんが当時驚いたのは、パンくんの志村さんへの懐き方だ。「ロケで志村さんが『先にあがるね』と言うと、私の手を振り払って志村さんの方に走って行っちゃうんです。『ひーっ』と泣いて何度も後追いして。志村さんは動物を落ち着かせるオーラみたいなものが出ていましたね」と振り返る。志村さんはロケが長引くと「もうダメだよ、やめよう」と声をかけるなど、常に動物のことを一番に考えてくれていたという。
人気絶頂のなか、一部から「擬人化をやめなさい」と批判の声も上がったが、宮沢さんは「子どもが驚くことで知的好奇心や夢が広がっていく。その夢を止めてはだめだ」との信念のもと、ロケ先では木に登って遊べる時間を何時間も取るなど、パンくんが窮屈にならない環境作りに徹していた。
■「大丈夫? 俺は絶対応援するからね」
