2026年6月にTVアニメ化が発表された『性別「モナリザ」の君へ。』(以下『モナリザ』)。誰もが自分の性別を自由に選べる世界を舞台に、唯一“無性別”のままで悩んでいる高校生の主人公・ひなせと、その幼なじみであるしおり、りつの2人との“恋”や“一番大切にしたいもの”への葛藤を描いた物語だ。
原作コミックは『ガンガンONLINE』(スクウェア・エニックス)で連載され2021年に完結、単行本全10巻の累計部数は100万部を突破している人気作だ。
本記事では、原作者の吉村旋氏と、アニメーション制作を担当する株式会社シャフトの代表取締役社長・久保田光俊氏、株式会社サイバーエージェント アニメ&IP 事業本部プロデューサー・椛嶋麻菜美氏の3名にインタビューを行い、アニメ化の経緯や、映像にするにあたって新たに挑戦したことなどについて話を伺った。
——まずはプロデューサーの椛嶋さんへの質問ですが、本作のアニメ制作決定までの経緯を教えてください。
椛嶋麻菜美氏(以下、椛嶋):だいたい今から4~5年前くらいにスクウェア・エニックスさんとお話をさせていただいたのが始まりです。その頃すでにコミックは完結していて、とても面白い作品なので、アニメ化はすでに決まっていると思っていたのですが、お伺いしてみたら「まだアニメ化は決まっていないです」と言われて。「では、考えてみたいです」と答えたのがきっかけでした。
そこから、どういう映像にしようかなと考えた時に、コミックで表現されていたターコイズと黒の色使いが印象的だったので、もしシャフトさんからオッケーをいただけるのであれば映像化にチャレンジしたいと思っていました。そして打診した半年後ぐらいにオッケーをいただけて。
久保田光俊氏(以下、久保田):すみません、だいぶ時間かかりましたね。
椛嶋:もう絶対忘れられているなと思っていたんですよ(笑)。定期的に「その後いかがでしょうか」と催促をしていたのですが、お返事はいただけていなくて。
久保田:それは失礼しました(笑)。
椛嶋:いえいえ。これはもうダメだろうなと思っていたら、ある日、お電話で「やります」とお返事をいただき。荻窪の路上で手を震わせながら「ええ、いいんですか!?」と答えたのを覚えています。あの時は本当に嬉しかったです。
久保田:そうですね、僕らもあまり触れたことのないような原作ではあったので、その面白さを逆に感じたというか。高校生たちが純粋に悩んだり、葛藤したり、不安になったり、友達を大事にしたり、好きだったり嫌いだったりということを、本当にストレートに思い出させてくれるような作品だなと思っています。
そしてそういう追体験をみんなが感じてくれるのかなと思って、2~30代のスタッフに「原作読んでみない?」と話をしたら「とても続きが読みたいです」「この後どうなっちゃうんでしょうか」という反応が返ってきて。
みんなが面白いと感じてくれているのなら、原作のターコイズカラーも僕らの新しいチャレンジとして演出的に上手く表現できるのではないかなと思ったところもあり、「やります」とお返しして始まりました。
——では、シャフトさんありきのアニメ化だったんですね?
椛嶋:はい。ですので、シャフトさんにお断りされたら、スクエニさんにごめんなさいと言わないと、と思っていました(笑)。
——久保田さんにもお伺いしたいのですが、ターコイズ色や感情の機微といった表現は、シャフトさんとしても新しい挑戦の1つと考えているのでしょうか?
久保田:新しい挑戦は、毎回考えて何かやろうかと思っているのですが、できることというのはそんなになくて(笑)。でも、たまたまこういう原作のテーマをいただいて、また違った新しさ……色の表現だったり、静かで繊細なキャラクターの動きや日常だったりというところは、僕たちの新しい挑戦になるのかなとやってみてはいます。
それがどうなるかは、またお楽しみということで。どういう風に色がついていくのかを伝えられればなと。物語が進むにつれて、いろんな色がついていくといったところが、上手く伝わるように頑張っています。
「足向けて寝られないです(笑)」

