日本人記者をスパイ容疑で拘束 露ハッカー送還と関連か 身柄交換の狙い指摘

日本人記者をスパイ容疑で拘束 露ハッカー送還と関連か 身柄交換の狙い指摘
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 日本人記者拘束から浮かぶロシアの思惑。過去には欧米と身柄交換の交渉もあった。日本の防衛力強化を批判するロシア・中国・北朝鮮の“包囲網”も指摘されている。今回の記者拘束には、ロシア側のどんな思惑があるのだろうか。

【画像】過去にロシアでスパイ容疑拘束され「身柄交換」で解放された米記者

日本人男性記者を拘束

 まず木原官房長官は、16日朝の会見でロシアから記者を拘束したことについて領事通報、正式な連絡があったことを明かしている。詳しくいきさつを見ていく。

 FSB=ロシア連邦保安庁は13日、北海道新聞ユジノサハリンスク支局の日本人男性記者をサハリン州で拘束した後モスクワへ連行し、ロシア刑法に基づきスパイ容疑で捜査を開始したと発表した。

レフォルトボ拘置所の歴史
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 そして、裁判所は12月までの勾留を認めているという。

 記者が現在、勾留されていると見られるのが、レフォルトボ拘置所だ。政治犯が拷問を受けるなど非人道的な扱いを受けた歴史がある場所だ。過去には国家反逆罪で国外追放になった、1970年のノーベル文学賞受賞者、アレクサンドル・ソルジェニーツィン氏も、ここに勾留されたことがあるという。

身柄交換か 露の思惑

 実は過去にも、同じように外国人記者が拘束されたが、その後、解放されたというケースがあった。

 それが、アメリカ「ウォール・ストリート・ジャーナル」のエバン・ゲルシコビッチ記者だ。今回の日本人記者同様、2023年にスパイ容疑で拘束されレフォルトボ拘置所に勾留された。

 翌年、禁錮16年の判決を受けたが、当時、ウォール・ストリート・ジャーナルは「秘密裁判」と批判した。

 ゲルシコビッチ氏は先月出版した著書で、FSBに身柄を拘束された経緯を告白している。この著書によると、まず彼はロシアの軍需生産に関する情報源と接触していたそうだ。

 ある時、その情報源から手書きの書類を見せられたため、メモを取っていたところ、突然、集団の男らが現れた。そして、目出し帽の男らに押さえつけられて手錠をかけられたという。ゲルシコビッチ氏は、「おとり捜査」で逮捕されたと主張している。

 そして2024年8月に身柄を解放されたのだが、そこには取引があった。

過去に身柄解放された際の経緯
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 ロシア側はゲルシコビッチ氏らを解放する一方で、西側諸国側では、ドイツで終身刑を言い渡されたFSBの元工作員らが釈放された。つまり、大規模な身柄交換が行われたということになる。

 アメリカとロシアの2国間だけではなく、ドイツなどを含めた多国間で実現したということだ。

 では、今回もロシア側は日本と何らかの取引を考えているのだろうか。

 今月、ロシア系ハッカー集団「キリン」の中心メンバーであるロシア国籍の男が日本で拘束され、その身柄が今月、ドイツに引き渡された。ロシアの独立系メディア「メドゥーザ」は14日、日本人新聞記者の拘束とキリンメンバーの引き渡しについて、報道された時期が重なっていることを指摘し、関連性があるのではないかと示唆した。

日露関係の悪化も関係?

 記者拘束の背景には、日露関係の悪化があるとの見方もあるようだ。

日本とロシアの関係が悪化
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 ソ連末期の1991年にゴルバチョフ大統領が初来日し、日ソ共同声明で北方四島の帰属が領土問題の対象として位置付けられた。

 1997年、橋本龍太郎総理とエリツィン大統領が会談し、2000年末までに平和条約を締結するよう全力を尽くすことで合意した。小泉総理の時代にはエネルギー分野での協力が進み、2013年以降は安倍総理が、北方領土問題の解決や平和条約の締結を目指して、プーチン大統領と通算27回の会談を重ね、両国で対話を続けてきた。

 しかし、2022年にロシアがウクライナ侵攻を始めると日本は対ロシア制裁に踏み切った。

 こうした中、今年8月、プーチン大統領が北方領土の択捉島を訪問。今月2日には日本政府がロシアへの制裁強化を発表するなど両国の関係は悪化していた。

中露朝で「対日包囲網」か

 ロシアは中国などと連携した動きを見せている。ロシア外務省は13日、日本人記者の拘束を受けて声明を発表した。その中で「日本は再軍備化に関するロシアの懸念に耳を傾けていない」とし、日本が進める防衛力の強化を批判した。

対日本の連携を強化
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 そもそもロシアには、日本が第2次世界大戦に降伏したのを記念した「第2次大戦終結の日」があったが、2023年6月、その名称に文言を追加した。9月3日を「軍国主義日本への勝利と第2次大戦終結の日」に改めるなど、歴史認識でも日本への批判を強めていた。

 さらに、同じく日本批判を強めている中国と同調する姿勢を見せている。今年5月の中露首脳会談後、両国は共同声明で「日本の急速な再軍備路線は地域の平和と安定に深刻な脅威」だとし、「第2次世界大戦の結果を十分に認識」するよう要求するとした。

 また、「新たな軍国主義と再軍備を放棄するよう求める」と明記するなど、日本の防衛力強化や歴史認識の批判で足並みをそろえた。

 さらに、この2カ国に北朝鮮も加わり、対日本で連携を強めている。去年9月、北京で行われた「抗日戦争勝利80年記念行事」では、プーチン大統領、習近平国家主席、金正恩総書記が顔をそろえ、抗日の歴史をテーマに集まった。

中露朝の国境でも動きが
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 また、中露朝の国境でも動きがあった。中国と北朝鮮の国境では、新鴨緑江大橋が完成から12年を経て、15日に開通式が行われた。また先月には、ロシアと北朝鮮の国境沿いに初の道路橋が開通している。

(2026年10月16日放送分より)

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