■「鶏むね肉こんな高かったっけ」節約の限界
ひとり親世帯で育ったサキさんは現在、奨学金とアルバイトで大学に通っている。「大学1年生の頃から一人暮らしをしていて、食費が一番かかると思っていた。最初は自炊を頑張っていたが、計算してみると、1人分だと食べきれず冷蔵庫で余るなど、むしろ無駄になっていた」と振り返る。
物価高を実感した場面として、「『鶏むね肉がこんな高かったっけ』と思うことがあり、『もういいや、もやしを買っておけばいい』となった」と語る。食事についても、「1日1、2食で終わらせることは毎日ザラにある。奨学金を受けているからというのが大きな理由ではないが、『ちょっと控えどころかな』と思う瞬間はよくある」と明かした。
家賃は月6万円、アルバイト収入は月10万円ほど。インフルエンザにかかった際も、治療薬を買わなかったといい、医療費の負担を避けていたこともうかがえる。
あしなが育英会の調査広報担当・島田北斗氏は、「子どもの貧困とは、親の貧困だ」と指摘。奨学金を受ける世帯の実情については、「保護者は非正規雇用の割合が非常に高く、社会全体で賃上げが進んでいるとされる中でも、5年前と比較してほとんど給料は変わっていない。一方で物価は上がり続けている」と説明した。
2025年の調査では、奨学金を受ける高校生の保護者の約9割が食費を切り詰めていた。「今年もその割合は変わらなかったが、『家賃を払うことができていない』という人が11%から16%まで増えた。去年の時点で限界まで食費を切り詰めていたものの、今年はもう節約する場所がなく、ついに家賃まで払えなくなった、という声も寄せられている」と危機感を示した。
こうした現状を「懐中電灯を持たない状態で、出口がどこにあるか分からない暗いトンネルを歩いているような状態だ」と語る。
■「本来、公的な領域でやるべき」識者の指摘こんな記事も読まれています

