子どもに本気で勝つ父親。その父親が、ある夜、帰ってこなかった。何げない日常が一番堪えたという。
「スーパーに行くのが嫌でした。2人でお魚屋さんのところで『どっちの魚にする?』なんて言って、アジとサンマどっち食べるなんて、2人でよくスーパーに一緒に買い物に行っていたから」
17年の歳月が流れ、子どもたちは大人に。妻は年を重ねた。犯人もまたどこかで17年分の年を重ねている。時効は撤廃されたが、奪われた側だけが時間に追い立てられていた。
夫を失った後、妻は心に残った言葉をノートに書き留め、自分を励ましてきた。「松下幸之助の言葉とか。いろいろな良い言葉が書いてある。言葉だけでもこんなにノートがあります。いろいろな良い言葉があると救われたりして」。
夫の墓の前で、妻は今も語りかけている。「パパ大変だけど、もうちょっとここまで頑張ったんだから、もうちょっと我慢しててねって。一緒に頑張るからパパも頑張ってよ」。
あの夜から17年。そっとしてほしいと取材を受けるのを戸惑っていた妻が取材に応じてくれた理由。「できたら静かにしていたいなっていうのが本音。でもそれでは、私が命ある限りは事件がどうなるか分かりませんけれど、最後に『やるだけやってきたよパパ』って言って…」。
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