■縦割り打破の「勧告権」と自治体支援のあり方
防災庁の司令塔としての機能についても詳しい解説が行われた。最大の目玉となるのが、他省庁への「勧告権」の付与だ。これまでは内閣府の防災担当が縦割りの中で調整を行っていたが、体制が大きく変わる。
細野氏は勧告権の意義について、「防災庁は内閣に直結しており、長は防災大臣である私ではなく、内閣総理大臣だ。他省庁からすると1つ上のレベルの省庁になる。防災庁が出す勧告は非常に強いもので、各省庁には尊重義務がある」と説明した。具体的には、医療機関の耐震化(厚生労働省)やインフラ整備(国土交通省)などにおいて、目標が達成できなければ具体的な勧告を出す権限があるとし、「我々が担当するのは国民の命に直結する危機管理であり、妥協は許されない」と強い覚悟を示した。
また、実際の災害対応を担う地方自治体に対しては、基礎自治体ではなく都道府県に強い要請を出し、年末までに現状と課題の報告を求めていると明かした。細野氏は「国で良い研修を行っているが、半分の自治体はその研修すら受けていない。『うちは大丈夫』だと思っている自治体が結構あるのはまずい」としつつ、各都道府県に「ふるさと防災職員」を配置して地域の課題を吸い上げる方針を示した。財政的に厳しい自治体への対応を問われると、「平時においては、どこに穴があるかを徹底的に見て、財政的にも体制の面でも支援する。有事になったら国が全面的に前に出て、弱いところこそサポートするのが役割だ」と答えた。
防災庁の最優先課題として掲げられたのが、避難所の環境改善だ。関東大震災から100年が経過しても体育館での雑魚寝が続く現状や、能登半島地震において死者744人のうち516人が災害関連死であった(石川県発表)という背景を踏まえ、従来の「TKB(トイレ、キッチン、ベッド)」に「バス(お風呂)」を加えた「TKBB」の確保を打ち出した。
細野氏は「防災庁ができることで避難所が変わらなければ、できた意味はない」と断言。「清潔なトイレを何日目に持っていけるか、温かい食事やベッド、お風呂をいつ準備できるか、日本のリソースを総動員して目標を設ける。仮に到達できないところがあれば国がサポートし、日本の避難所のあり方そのものを根本的に変える」と政策の方針を示した。特に、水が使えない状態でもいかに清潔なトイレを早期に提供できるかがハードルになるとの認識を示した。
また、膨大な数の避難所を公務員だけで運営するのは不可能であるとし、事前にトレーニングを受けた専門ボランティアを10万人規模で組織化する仕組み作りに着手したことを報告した。
最後に、自身の備蓄状況を問われた細野氏は「ローリングストックだ」と明かし、缶詰などを普段から消費して買い足していると語った。最後に「家具の固定、特に寝室には重い家具を近くに置かないこと。そこだけは自分でやっていただかないと命は守れない」と改めて国民へ行動を呼びかけた。
(『ABEMA Prime』より)

