■人格攻撃やデマの「空中戦」に有権者は冷めた目
対する共和党のパクストン候補(63)は、MAGA派の急先鋒。汚職疑惑や不倫など数々のスキャンダルを抱えながらも、トランプ大統領が後押ししてきた。「大統領が私と私たち、そしてテキサスのために駆けつけてくださったことに感謝します。私たちはこのレースに勝つでしょう」(パクストン候補)
苦戦を受け、トランプ大統領は10月だけで3度もテキサス入りし、「『変人タラリコ』と『バカな民主党』の思い通りになれば、むさ苦しく惨めで貧しい惨状を迎える。頼むから私が出馬しているつもりで投票に行ってくれ」と呼びかけた。さらに、テキサスのソウルフードであるバーベキューを引き合いに、「彼はビーガン(菜食主義者)で、人生で一度も肉を食べたことがない。いま無理やり肉を飲み込もうとしているが上手くいっていない」と何度もタラリコ候補を“口撃”した。
これに対しタラリコ候補は「私はパクストン氏が初めて起訴される前からバーベキューを食べてきました。『私がビーガン(菜食主義者)だ』という嘘を付くだけなら、11月の選挙は結構良い感じだと思います」とユーモアを交えて一蹴。
また、タラリコ候補が9月末から10日間ほど選挙活動を休んだ際、パクストン候補陣営側が「メンタルを病んでしまったようだ」というデマを流したが、タラリコ候補は「陰謀論者はインターネットに好きなことを投稿してクリックを得ている」と即座に発信し、消火に努めた。
こうしたデマや人格攻撃が選挙戦に与えた影響について、三牧氏は、共和党が多額の資金を投入してネガティブキャンペーンを展開している背景に触れつつ、以下のように分析する。
「今回党として集めているお金は共和党が勝っている。そのお金も何にでも使えるわけじゃないので、主にこうしたネガキャンや宣伝に使うと。大量に相手候補を中傷したり批判する広告が打てるが、今とにかく人々は現実の生活に困っている。こういったタラリコ候補に対する人格攻撃のような攻撃をしても、全く生活は良くならない。そういうことをタラリコ候補も捉えて、『どんどん攻撃してください。私はテキサスの州民の人のことを考えていて、それに邁進します』といった姿勢で臨んだ。人々から見ると、共和党はお金に任せてネガキャンばかりで、生活をどう改善するかについては全然ポジティブに語ってくれないし、全然自分たちのところに足を運んでくれないと。むしろ空虚な空中戦をやっている共和党が人々に冷めた目で見られた。それがタラリコ候補とパクストン候補の差の一つの背景になっている」
若者とヒスパニックの心を動かした“シン・SNS戦法”