総合格闘技の試合において様々な意味で物議を呼んだ試合は多いが、いわゆる「塩試合」を集めた動画集「The Worst Fight inMMA」が公開され話題となっている。
キンボ・スライス VS DADA5000 2016年5月19日
6月に逝去したキンボ・スライスのラストファイト。「Bellator149」での巨漢同士の遅すぎる殴り合いは、ラウンドが進むともに時の長さを感じさせる凡戦に。精魂尽き果てるまで本人たちはベストを尽くしたが、3RよろめきながらDADA5000が倒れこんでホッとした観客は多かっただろうが、後にキンボが深刻な心臓疾患を抱え死亡したことを考えると居た堪れない試合だ。
田村潔司 VS アリエフ・マックモド 2005年2月20日
「PRIDE29」での田村の敗戦。お互いの蹴りが全く咬み合わない展開の序盤を象徴するように、マックモドの股間に田村の膝が直撃する不幸が起き試合は中断。3分の中断後、ほどよく力が抜けたマックモドに見えたが、徐々に股間の痛みを訴えタオル投入で試合は終了した。
ギャビ・ガルシア VS レイディータパ 2015年12月31日
霊長類女子最強ガルシアとレイディー・タパの対戦は日本の「RIZIN」で実現。
「ヴァンダレイ・シウバを絞め落とした女」という触れ込みで男説も根強い異色のファイターが小柄なプロレスラーを相手に戦うという反則過ぎる展開。タパも一撃でガルシアをふらつかせ一矢報いるが、適当に振り回した巨大な裏拳が不運にも当たり、その後嵐のようなパウンドでKO。そもそも体格差からして組んで良いカードだったのかすら疑問である。
ガブリエル・"ナパオン"・ゴンザーガ VS ケヴィン・ジョーダン 2005年11月19日
後にUFCが王者になるナパオンの「UFC 56」でのデビュー戦。お互い消極的な試合に観客からも「やめちまえ」の大ブーイング。レフリーからも警告が出る異様な展開に、決まり手はまさかのスーパーマンパンチというあっけない結末に居た堪れない空気が漂った。
「塩試合」といっても色々あるが「元々組み合わせが悪く両者が噛み合わない」「誰がみても不平等なマッチメイク」「一生懸命やってるのに凄さが伝わらない」「試合中の不幸なアクシデント」など事情は様々だが、リングの上で戦うファイターたちに最大の敬意を払いつつやはり酷い試合の存在は心にとどめて置きたいところである。