現在、今年最後の4大大会となる全米オープンが開催中だが、地元アメリカのセリーナ・ウィリアムズをサポートするナイキが「最も偉大なアスリート」というキャッチコピーと共に、彼女の偉大さを称えるCMを完成させた。
「Unlimited Greatness(無制限の偉大さ)」と名付けられたキャンペーン。過去、個人のグランドスラム22回、ダブルス14回、混合ダブルス2回の優勝したセリーナの歴史を言葉で綴って行く。
「(彼女の育った)コンプトン」「妹」「落ちこぼれ」「プロ」「304位でマリー・ピエルス(6位)とモニカ・セレス(4位)を破った1996年のシカゴ大会」「TOP10」「パリ、ロンドン、ニューヨーク、メルボルン(4台大会制覇)「ランキング1位」そして「2006年の怪我」「もがき苦しみ」「169位までランキング転落」「復活」「再びランキング1位へ返り咲き」「そして伝説に」と、一つ一つの言葉が短いだけに重みを感じさせる。
しかしこの映像の本質は、後半の言葉になる「最も偉大な女性アスリート」から「女性」という言葉が消え、セリーナの顔が映し出されるシーンにあるだろう。
約2ヶ月前のウィンブルドンでのインタビューでこのようなやり取りがあった、ジャーナリストのローラ・ウィンターの「最も偉大な女性アスリートと言われていることをどのように思う?」という質問に「(男女は関係なく)最も偉大なアスリートと言われたい」と。
Serena Williams delivering another killer line in that press conference. #wimbledon #serenawilliams pic.twitter.com/0l9RZGl7DG
— Laura Winter (@lauracwinter) July 7, 2016
ジェンダーレスの議論が進む中で、テニス界でも春にフランスの大会責任者が「女子テニスは男子の人気に便乗している」という発言で辞任。男子第1位のジョコビッチが「観客動員に大きく貢献している男子選手が女子選手よりも賞金を貰うべき」と発言し後に謝罪するなど、テニス界での性別に関する問題や発言へのメッセージとも取れる。
最後はナイキのキャッチフレーズ「Just do it.」で締めるが、1分の中にセリーナ・ウィリアムズという「偉大なアスリートと彼女が今伝えたい事」を凝縮した力強い映像作品といえるだろう。