年末12月30日の「UFC207」で休養から復帰するロンダ・ラウジー。昨年11月の敗戦から約1年1ヶ月、現チャンピオンのアマンダ・ヌネスとの対戦が間近に控えている。

 これまで「負けたら即引退」というトーンで報じられて来たロンダの復帰プランだが、ここ数日精力的なプロモーション活動の中で、彼女の発言からもちょっとした変化を感じさせるものをが増えている。

 昨年ホーリー・ホルムに衝撃的なKO負けを喫した際には「無敗伝説」の終焉と共に、「ロンダ株大暴落」という論調でメディアもファンも騒ぎ立てたが1年の冷却期間は、彼女がカムバックするのに丁度良い期間だったようにも思える。

 数ヶ月前にTV番組で「勝てない私には何の価値もない死んだ方がマシ」と激白していた彼女だが、ここへ来て随分と吹っ切れた姿を目にするようになった。

 敗戦のショックを受け入れてやや達観している感すらあるのは、もはやUFCの女子部門が自分不在でも十分に繁栄している現実を見せつけられたのもあるだろう。

 先日のFOXスポーツでのインタビューでは「お金をこれ以上得ても何の意味もないということを去年一年で学習したわ。お金で幸せにはなれない。もうUFCの女子は大丈夫よ、私が戦い続ける必要はない。」といつでもキャリアを終える覚悟とも取れるコメントを残し、コナン・オブライエンのトーク番組ではTVゲーム「World of Warcraft」の話題で生粋のゲーマーぶりをアピールと、かつての毎戦負けられないというピリピリしたムードはどこにもない。

 これらの態度からは、引退もしくはトップコンテンダーからの離脱といった今後の去就も匂わせているように思えるが、一方で、ここへ来てロンダ・ラウジーの変わらない市場価値をまざまざと見せつけている。それは復帰に向けた多方面の手厚いプロモーションからも読み取れる。

 シャンプーの「パンテーン」は、彼女をCMに起用復帰をイメージした「Agein」を連呼する映像と「Strong Is Beautiful」と「戦う女性」という今までにない切り口で大々的に露出。これまで女優やモデルなどをメインにすえたゴージャズなイメージのシャンプーのCMで殴る蹴るといった強い女性を打ち出したのはなかなか新鮮。

 さらに新たに12月8日に公開したUFCのプロモーションビデオも仰々しい内容だ。崖っぷちをイメージし佇むロンダに、地下での特訓、映画「ロッキー」の様式美を継承したようなトレーニングシーンに夕陽に向かって一人孤独な姿と、映画のトレイラーのような重厚な作りで、王者と挑戦者どちらが主役か判らない「ロンダ推し」が目立つ。

 対戦する王者のヌネスだが、先月のFOXスポーツのインタビューで「1ラウンドで片付ける」と宣言。舌戦の口火を切ったがそれがクローズアップされた以降は話題は尻すぼみ。

 リングで結果を出せば全てOKという側面はある格闘技世界だが、リング外での話題性では、ロンダ・ラウジーの変わらない商品価値を再認識させる形となっている。

 一時期は年末が「現役最後の試合」といわれていたがTV出演の際に「ヌネス戦でこのスポーツを離れるつもりはない」と、ラストファイトではないことを示唆。噂されているクリス・サイボーグとのスーパーファイトなどまだ隠し玉はありそうだが、女子MMA最初のスーパースターのキャリアの終焉が近づいていることは確かなようだ。

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