大迫勇也は、静かに自信を秘めていた。12月21日に行われたブンデスリーガの第16節、ケルン対レバークーゼン戦の試合後のことだ。

 主力5人が離脱中のケルン。11月19日のボルシアMG戦以来、4戦連続で勝利がない。苦しい戦いが続いている。主将レーマン、ビッテンコート、リッセ…特に中盤に怪我人が続出していることで、ペーター・シュテーガー監督は、前節ブレーメン戦に続いて[5-3-2]のシンプルなサッカーでレバークーゼンに挑んだ。

 手薄な中盤に施された応急処置。ボランチにSBが本職のヘクトルが入る。そしてトップ下にはFWが本職の大迫だ。大迫は、シュテーガー監督から「僕とヨナス(・ヘクトル)で上手く作ること」を求められているのだそうだ。

 ゲームを作れるヘクトルとともに大迫は、正確なショートパスを主体に“繋ぎ役”としてチームの戦いに貢献した。敵に囲まれてもボールを失わず、サイドに散らしながら、的確でシンプルなパスを出し続ける。カウンターの際には縦に素早く2トップへ繋いだ。「日本人はみんなできると思います」と謙遜しつつ、ショートパスはもともと得意だったのだという。

 ケルンは21分にモデストのゴールで先制に成功するが、44分、ウェンデルに裏に抜けだされ、同点に追い付かれてしまう。ベンチはクルンターやハーテルといった、今季セカンドチームから昇格したばかりの若手で埋めざるを得なかった。有効な交代策も難しく、ケルンはレバークーゼン戦をようやく1-1で終える。

 年内の最終戦を勝利で飾れず、ドローで終えたが、大迫は「これだけ怪我人がいれば、まあ、上出来なほうじゃないですか。大変でしたね、最後の方は」と振り返る。

 そして大迫自身、FWではなくトップ下での起用が続いているが、チームの事情を考えれば、受け入れざるを得ないようだ。

 「もどかしさはありますけども、しようがないっていう割り切りのほうも強いですね。今回に関してはちょっと特別、というか、これだけ本当に怪我人が出れば、本当にしようがない部分は、僕でもわかるので。やっぱり、まあ、本当に目をつぶって頑張るしかなかったですね」

 大迫に対するシュテーガー監督の信頼は変わらない。チームが置かれた特殊な状況を理解し、中盤でバランスを取り、ケルンのサッカーが崩れてしまうことを防いできた。後半戦に入って、怪我人が戻って来れば、再びFWを任されることになるはずだ。

 「中盤が厚くなれば、自然と前に行けて、僕も自分のポジションができると思うから。また楽しみですね。また、新鮮な気持ちになりますね。前にいれば、もっと自信はあります。ただ、トップ下でやっていてもチャンスがあった試合もあったので、もっともっと自分が輝けるように、キャンプから準備します。年明け、また頑張りますよ」

大迫は、穏やかに闘志を燃やしていた。

 取材・文/本田千尋

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