田中路教は、現代のMMA(総合格闘技)戦線の潮流を象徴するようなファイターだと言っていい。
 現代のMMAは、UFCを頂点とするヒエラルキーがしっかりと確立された世界だ。試合はケージ(金網)で行なわれるのが基本。選手たちの多くはUFCでの成功、すなわち“最強”の座とビッグマネーを求めて練習に励む。
 UFCを目指すなら、ケージでの試合経験を重ねることが重要になってくる。ルールや階級もUFCと同じほうがいい。そのため、世界各地でケージイベントが開催されるようになった。日本でもパンクラス、修斗、DEEPといった老舗団体が“ケージ化”している。PRIDEやHERO'Sがブームとなり、日本でだけ闘っていればいい時代はいったん終わったのだ。逆に言えば、それは世界的なMMAブームのスタートでもあった。