昨年UFCフェザー級とライト級の初の2階級制覇を達成したコナー・マクレガー、2017年前半は試合に出ないと明言、何度も浮上しているフロイド・メイウェザーとの対決も含め、その去就が常に注目されているが、「KOシーンベスト5」と題し改めて彼のボクシング技術にフォーカスしてみたいと思う。
10代からボクシングでファイターとしての頭角を現したコナー・マクレガー。24戦のMMAでの戦績21勝のうち18戦のKOは殆どがスタンドでの打ち合いからのKO勝利だ、特にUFCに参戦してからは10試合で1RでのKOが4回、2RでのKOは最新のライト級戴冠となったエディ・アルバレス戦も含め実に4回にも及ぶ。基本的にはベースとなるボクシングの上手さでここまでMMAを席巻して来たが、圧倒的な強さ以上に自分のストロングポイントを活かす技術が随所に見られるのだ。
5位 対マーカス・ブリメージ戦(2013年)
UFCデビュー戦となった2013年4月6日マーカス・ブリメージ戦。試合開始1分下がりながら左右のアッパーから崩れるブリメージに後方から容赦ないパウンド攻撃、この衝撃のノックアウト勝利で大会の「ノックアウト・オブ・ザ・ナイト」を受賞している。
4位 対エディ・アルバレス戦(2016年)
2階制覇となったアルバレス戦。試合序盤よりマクレガーの打撃が終始王者アルバレスを捉える展開。1RにもあわやKOという場面はあったものの、2Rのフィニッシュへの流れを産んだ左フックは、アルバレスの右フックに合わせる右との組み合わせで4発の左右コンビネーションが的確にヒットし王者を沈めた。
3位 対チャド・メンデス戦(2015年)
コナー・マクレガーの存在が大々的に注目されることになった一戦が、UFCフェザー級暫定王座をかけたチャド・メンデス戦。打撃の能力とテイクダウンからのスピード感あるレスリング技術をもつメンデスはタイトル戦の中ではマクレガー唯一苦戦した相手でもある。1Rから序盤にかけては距離をつめる制空権の争いだったことからもこの試合は途中までの行方はわからなかった。
勝負を分けた2Rの打撃戦、珍しく奪われたテイクダウンからのスタンディングの攻防で、左ストレートに利があるマクレガーは、左右のコンビネーションに合わせ一気にたたみかけた。伏線としてはボディへの蹴りを前半から効果的に使いメンデスの距離を潰し、千載一遇のチャンスで、得意の左ストレートで仕留める上手さを見せたKO勝利だ。
2位 対イヴァン・ブッヒンゲル戦(2012年)
UFC参戦以前のイギリス「 ケージ・ウォリアーズ」のカードから。この時期からタイトル戦を除く殆どのカードで1R瞬殺とKOの山を築いているマクレガーだが、CWFCライト級への挑戦となったこの試合では、高速回し蹴りからテイクダウンなどラウンド序盤から別次元のレベルを発揮している。優位に試合をすすめつつも首を取られるという軽率な場面も見られるが、スタンドでの速いパンチと蹴り、派手な打撃に対して的確で威力あるパンチ一撃でしとめる技術は、現在のマクレガーのスタイルの源流となるものだ。
1位 対ジョゼ・アルド戦(2015年)
マクレガー=KOを印象付けた試合といえば、やはりフェザー級タイトルを戴冠したアルド戦に尽きるだろう。階級最強10年間無敗と、紛れもなくMMA史に残るレジェンドであるアルドが、僅かUFC7戦のマクレガーに僅か13秒で敗戦するというインパクト。当然ながらアルドはこの試合でキャリア初のKO負けを喫している。
テンポよくタイミングを見計らうアルドに対して、下がり気味の体勢から左フックを放つマクレガー。スロー再生でもアルドも右と見せかけ強烈な左フックを放とうと踏み込んでいるところをかいくぐるマクレガーの左とこの試合の紙一重な雰囲気は13秒間に凝縮されている。
立技の技術から考えるとほぼ互角、もしくはアルドが上と言われていた試合、パーフェクトな王者にほころびを産んだといわれる試合前の舌戦も含めアルドを精神面で揺さぶったマクレガーの心理戦の勝利との評価もある。すでにマクレガーが再戦を望んでいないことから「どちらが強いか?」というのは永遠のミステリーになりそうな雰囲気だが、ある意味マクレガーの一発にかける真骨頂ともいえるKOシーンといえるだろう。