11月3日、国立代々木競技場第二体育館で開催される『K-1 WORLD GP 初代フェザー級トーナメント』。9月のスーパー・フェザー級に続き「新生K-1」が本格的に階級名を打ち出して行うトーナメントは、6月に急遽発表された「-57.5kg」という新階級で争われる。
これまでの-55kg、-60kg、-65kg、-70kg、ヘビー級の5階級の間に2.5kg刻みの新階級を設けたことにより非常に大きな差のある5kgの階級の間を取ることで、スーパーバンタム級の王者だった武尊が、一回級上となるフェザー級で「2階級制覇に挑戦」という大きな打ち出しも出来るが一方で、重い階級からウェイトダウンした強豪がひしめき一筋縄では行かない大会になりそうだ。
一回戦は、武尊、神戸翔太、戸邊隆馬、小澤海斗の日本人選手4人それぞれが外国人選手が対戦する組み合わせ。ユン・チーなど「K-1」と「Krush」のリングで凌ぎを削って来た選手たちに加え、エリアス・マムーディ、ジェイミー・ウィーラン、ジョシュ・トナーと欧州、中国、豪州の気鋭の外国人選手たちの対戦というラインナップ、2014年から2年かけて形作られて来た新時代K-1の強固な選手層の土台をベースに、世界のタレントを迎え入れる世界戦略のキックオフの場という認識が正しいだろう。
当然ながら最も勝利が期待され、「優勝必達」との向きも強い武尊だが、今回のトーナメントはこれまで以上にハードかつ難関続きの戦いとなりそうだ。
一回戦で、英国のジェイミー・ウィーランと対戦。ISKA世界スーパー・フェザー級王者で戦績は27戦26勝1敗と欧州で無類の強さを発揮して来たキックボクサーだ。過去の試合でも、上下の打ち分けにローキックのコンビネーションなど高い技術とスピードでジワジワと相手を追い込むタイプのファイターである。いわば同階級のヨーロッパ代表といきなり一回戦で当たる自体もかなりハードだが、その後には共にハードヒッターである神戸翔太とユン・チー戦の勝者と決勝まで行き着くこと無く戦いは続く。トーナメントにありがちな消耗戦に持ち込まれた場合には「下馬評」が大きく崩れる可能性もあるのだ。
一方「Krush」-58kg王者、小澤海斗のブロックも未知数だ。小澤は初戦でオーストラリアのジョシュ・トナーと対戦。10年近いキャリアを持つムエタイベースの選手でオセアニア地区のムエタイ・イベント「Road to Rebellion」では-60kgでエントリーしており、距離を詰めプレッシャーをかけながら相手をジワジワと追い込むタイプでボクシング技術も高い。
また戸邊隆馬が対戦するフランスの神童、ユリアス・マムーディも注目の選手だ。18歳にしてプロ格闘技戦績15戦15勝。176センチとこのトーナメントの選手の中で最も高さがあり長い手足から繰り出す攻撃は日本人選手にとっては未知数のものになりそうだ。
下馬評では武尊にただならぬ執念を見せている小澤海斗のライバル対決のように、判りやすい決勝戦を期待する声が少なくないが、前回のスーパー・フェザー級トーナメントで、大躍進を遂げた大雅の台頭で当初期待された卜部兄弟の兄弟対決が覆されたように、今回も思わぬ番狂わせが起きるかもしれない。
とくに期待されている日本人選手は、一回戦で対戦するポテンシャルが未知数な外国人選手との試合運びで「いかに賢く勝ち抜くか?」がハードなワンデートーナメントを勝ち切る鍵となりそうだ。