3月3日(現地時間)総合格闘技団体「ベラトール」の女子本格参入といえる初のタイトル戦が開催される。カードは、日本でもおなじみのマルース・クーネンとジュリア・バッド。この二人が初代フェザー級のタイトルを賭け戦うのだ。
実はこの2人の対戦、勝利というより敗戦の歴史からそのポジションが垣間見える。
マルース・クーネンといえば2000年から「L-1 200」を皮切りに「ReMIX」「修斗」「SMACKGIRL」「K-Grace」など日本の女子格闘技大会に参戦し続けていた女子MMAのパイオニアの一人。その後、UFCに吸収合併される前のナンバー2団体「Strikeforce」に参戦し、2014年から「ベラトール」が主戦場となっている。
ここ5年でも負けたのはミーシャ・テイトと、様々な疑惑はあるものの、女子最強といわれるクリスチャン・サイボーグといったクラスとの対戦。懸念点は35歳という年齢や、近年徐々に減る試合数から垣間見える衰えだ。しかも前回2016年5月にはUFCをリリースされた女子ファイター、アレクシス・デュフレーヌに三角締めで一本とられているので、彼女にとっては正念場であり、限りなくラストチャンスに近いタイトル決定戦となる。
一方のジュリア・バッドも33歳のベテラン。彼女の場合はムエタイ経由で2010年MMAデビューと遅くのデビューということもあり参戦数もかなり少ないが、特筆すべきはその勝率。11戦9勝2敗しかも最後の負けたのは2011年の「Strikeforce」時代のロンダ・ラウジーとその前が、2010年同じく「Strikeforce」でのアマンダ・ヌネス戦。その後は7連勝6年負けなし。
この両者の戦績を見るとその後の強い王者級ばかりに負けている。二人ともUFCのラインナップから漏れ、実力はありながらも女子格闘技ブームの枠が漏れていた不遇の女性ファイター同士の対戦ともいえる。
UFCのロンダ・ラウジーという絶対的なスターがリードしてきた女子格闘技の世界も、彼女のKOでの連敗以後は、大会ごとにスター選手が入れ変わる過渡期に突入しているが、同時にとてつもないスピードで個々の選手のめざましいレベルアップを実現した。それもロンダという目標があっての急成長だったのだ。
そこに追いつくように「ベラトール」は2年ほどかけて手探りで開拓してきた。クーネンvsバッドは、この後の女子カテゴリーの未来を占う一戦になるに違いない。