オカダ・カズチカの持つIWGPヘビー級王座の次期挑戦者が、ニュージャパンカップを初制覇した柴田勝頼に決定。4月9日両国国技館での「戦国炎舞-KIZNA- Presents SAKURA GENESIS 2017」で対戦する。
NJC優勝者には新日本プロレスに存在する3つのベルトのいずれかへの挑戦権が与えられる。柴田が、1月4日の東京ドームで失った盟友・後藤の持つNEVER無差別級でも、内藤哲也のインターコンチネンタルでもなく、最高峰のIWGPを選択したのは意外との意見もあるが、このカード「過去と現在の新日本」という意味合いを噛みしめると面白い内容になりそうなのだ。
20日のNJC決勝戦で裸絞めからPKでバットラックファレを仕留めた柴田がリングで「3、4年前の約束」とかつて挑戦の条件としてオカダが出した「NJCの優勝」を有言実行からの、オカダvs柴田という流れ正直なところ唐突感が無かったといえばウソになる。
試合後の会見で柴田は「やっとだよ。3~4年かかったね。なかなかシングルで触らせてもらえないチャンピオンだから。俺の育った新日本プロレス、今の新日本はすばらしいよ。とてつもなく素晴らしいよ。だけど大切なものを忘れているよ。いつ何時、誰の挑戦でも受ける。一番大事なこと、一番根本を忘れていやしないかい?」と語った。
当然ながら「いつ何時、誰の挑戦でもうける」は創始者・アントニオ猪木のかつての新日本プロレスのスローガンである。00年台の低迷期を経て華やかさと共に大復活した新日の素晴らしさを認めながらも、黒タイツという伝統的なストロングスタイルの「ザ・レスラー」柴田が言うと一段と説得力が生まれる。例えば内藤哲也のように執拗なオカダ、運営批判を繰り返しながらキャスティングボードを握って行く、ベルトを強奪するという方法も無いわけではないが、4年かけてトーナメントという動かぬ証拠を突きつけてオカダへの挑戦権を叩きつける辺りは実に柴田らしい。
今年の1.4で、現在のシングルカードにおける最高傑作ともいえる「オカダVSケニー・オメガ」戦で全て出しきった感のあったオカダ。残された命題として「過去の自分」「過去の新日本」「過去のプロレス」をいかにして超えて行くかのフェーズに入っている。
1月には、若手時代のトラウマともいえる鈴木みのるを撃破し「過去の自分」を回収したが、今度の柴田勝頼は、最後の新日ストロングスタイルの砦ともいえる、いわば「過去の新日本プロレス」の生き写しとの対戦という構図になりそうだ。
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