1995年3月20日に起きた「地下鉄サリン事件」。死者13人、負傷者約6200人の犠牲者を出したこの事件で、オウム真理教が東京の地下鉄で撒き散らした毒物「サリン」に世間の注目は集まった。
 サリンはイラン・イラク戦争で使われるなど、大量殺戮を目的に開発された化学兵器だが、実は事件の約2ヶ月前、1月1日の読売新聞一面に「サリン残留物を検出 山梨の山ろく」という記事が掲載されていた。オウム真理教の拠点である上九一色村で、94年6月に起きた松本サリン事件の残留物と同じ成分が発見されていたのだ。オウムに対し、すぐに強制捜査が入ると思われたものの、直後に阪神淡路大震災が起こり、日本中が浮き立つ中、地下鉄サリン事件が発生してしまったのだった。