4月6日から始まる将棋の第75期名人戦七番勝負を前に5日、東京都千代田区のホテル椿山荘東京で前夜祭が行われ、映画「3月のライオン」の大友啓史監督（50）があいさつで「日本は将棋の国。そういう国の話として映画を撮った」と語った。
佐藤天彦名人（29）、稲葉陽八段（28）の前で乾杯のあいさつを務めた大友監督は、関係者含め400人を前に、映画にまつわるエピソードを披露。「『るろうに剣心』の後に何をやるかと多くの人に聞かれた。将棋の映画をやるといったら『将棋は動きがないから難しいね』と散々言われた」と明かした。それでも自ら名人戦などを多数観戦するうちに「これは棋士の戦いをそのまま映像に描けばすばらしい映画ができると確信した」という。
その後、演出の方針を転換すると「棋士のみなさんが幼いころから駒を手になじませ、日々将棋のことを考え勝負してきた時間と努力を少しでも体感して、棋士そのものになってもらおうとした」と、俳優陣に駒を渡して日々触らせたという。
将棋についても、映画監督ならではの表現をしてみせた。「名人戦を何度か拝見したが、見えない刀で切り結ぶ真剣勝負。間合いを含めて、返り血を浴びる戦いのよう」だったという。締めくくりには「（3月のライオンは）日本は将棋の国だ。名人戦は日本全国、1億人がテレビにかじりついている。そういう演出をしているし、そういう国の話として映画を撮った」と、将棋界の発展に期待を込めて熱弁していた。
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