10代でのタイトル奪取が見えた一局だ。史上最年少プロ棋士の藤井聡太四段(14)が7人の先輩プロ棋士と対決する「藤井聡太四段 炎の七番勝負~New Generation Story~」の第五局で将棋界の最高峰リーグである名人戦・順位戦A級の深浦康市九段(45)と対局し、122手で勝利した。難解な詰み筋を読み切り、王位在籍3期の実績を誇るベテランを撃破。七番勝負の勝ち越しを決め、トップ棋士と同等の実力を改めて示した。

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 名人への挑戦権をかけて、戦う将棋界のトップリーグ、名人戦・順位戦A級は10人の棋士で構成されている。実力、状態いずれもそろえた棋士たちだけがいられる場所に、特別対局とはいえ藤井四段が初めて足を踏み入れた。そして勝った。「途中ずっと自信のない展開でした。詰みが見えて、なんとか勝ちになったかなと思います」と振り返ったが、見つけた詰みに向かって、一直線に指し続けた。

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 圧力を感じたのは深浦九段の方だった。序盤は優勢に進めていたかに見えたが「藤井さんにしっかり受けられて、(自分の)攻め駒を攻められるような素振りも見せられて、神経が疲れた」と疲労感をにじませた。終盤の読み合いにも「(藤井四段が)私の玉周辺をよく見られていた。詰ます順を考えていたのかなと」と、視線でプレッシャーをかけられていたと明かした。

 この日解説を務めた橋本崇載八段(34)は「とにかく大器の片鱗をものすごく感じる。かなり完成された将棋。ここからいろいろな将棋を学んでいったら、10代でタイトルを取るのは、ほぼ間違いないのでは。久々にこんな強い新人を見た」と絶賛した。

 もの静かに、だが大きな壁をまたひとつクリアした藤井四段。次なる相手はタイトル13期、さらに永世棋聖の資格も持つ佐藤康光九段(47)が相手だ。近い将来、タイトルをかけた戦いにもなりそうな2人の対局は、4月16日午後7時から放送される。

(C)AbemaTV

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藤井聡太四段 炎の七番勝負~New Generation Story~第6局 | AbemaTV
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藤井聡太四段vs永世棋聖・佐藤康光九段
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