先日、藤原組長とプロレスの試合をしてきました。キャッチコピーは「昭和の関節技対平成の関節技」。現役トップの格闘技選手でありながら、プロレスの試合をすることに対して、賛否あります。誤解を承知で言うと、僕の中では格闘技もプロレスも同じです。「表現」として捉えたときに、方法が異なるだけで自分を「表現」する意味では同じだと言えます。この文章を書くことも「表現」なので同じことだと考えています。屁理屈に聞こえたらすまん。
面倒な言い方をしましたが、簡単にいえば好きで楽しいからやっています。自分の人生なのだから興味があること、楽しいことに触れないのはもったいないです。格闘技選手がプロレスを触ることに批判的な目があったとしても自分がやりたいのならばやればいい。最低限のルールを守れば世間の共通認識を無視しても、自分がやりたいことをやればいいと思っています。まさに空気を読んではいけない。書店に急げ(※注)。
※注:青木の著書タイトルは『空気を読んではいけない』(幻冬舎・2016年)
試合結果は15分時間切れでした。プロレスは結果以上に内容が重視されます。試合が決着するよりも、時間切れの試合をやれたことに価値があります。自己採点もよく、評判もよかったので達成感があります。自画自賛ですが15分よく魅せた。誰に勝ったという話ではないのですが、僕は勝ちました。満足いく試合でした。
藤原組長は67歳です。今の60歳以上は若くて元気だと聞くし、70-80歳まで働く時代が来ると言われていますが、それをスポーツ界に横移動で持ってこれないでしょう。話しが違いすぎる。
67歳で33歳の現役トップ選手と15分ノンストップで動けるなんて信じられないです。やっている僕がびっくりしました。細かくいうと、動いているように見せる技術があるからできるのです。オリックス星野伸之のような緩急をつけたピッチング。キャッチャーが素手で捕れるスローカーブが懐かしい。まさに職人です。
先に入場してリング上から、入場して来る藤原組長を持っていたのですが、大歓声を浴びて入場して来る藤原組長に凄みを感じました。キャリアを積み重ねるってこういうことなのだと思います。今の単純な強さではなく、キャリアをひっくるめての凄み。これは会社でも同じではないのかなと思うのですがどうでしょう。(働いたことないのでわかりません)
67歳で観客を掌の上で転がして、大声援を浴びて帰る。あんな67歳はいないし、トップクラスに幸せな67歳だなと感じました。レスラーってかっこいいよな。アスリートよりもレスラーになりたい。
高齢化が進んで40代以上が大人の8割になるなんて記事を目にしましたが、40代以上に需要があって支持される、こんな試合があっても良いし、こんな働き方いいよねって話でした。
追伸:試合後に組長から「これからはお前の時代だ」との言葉を頂きました。下の世代に引き継いでくれる組長の器の大きさに頭が下がります。自分も引き継いで繋げれるようにしていきたい。引き継がずに勝ち逃げはよくない。
文/青木真也