4月22日のK-1・代々木第二体育館大会における注目カードの一つが、ゲーオ・ウィラサクレックvs山崎秀晃のスーパー・ライト級タイトルマッチだ。この試合はK-1屈指の“因縁マッチ”。物語が始まったのは2014年11月、新生K-1旗揚げ大会のことだ。
不動のKrush -63kg王者として、65kgに階級を上げ絶好調で出場したK-1で、山崎は人生最大の屈辱を味わう。一回戦でゲーオと対戦し、額と目の下を骨折。長期欠場に追い込まれてしまったのだ。逆にゲーオはこのトーナメントで優勝し、一気にスターに。
復帰後も山崎は波乱万丈だった。本格的に65kgの肉体を作り、Krushで-65kg王者となり2階級制覇に成功。K-1では日本トーナメントで優勝を果たし、あらためてその実力を証明した。
ところが、昨年11月に決まっていたタイトルマッチは、ゲーオの欠場によってキャンセルに。山崎は代替選手のゴンナパーと闘ったのだが、この試合で負傷し、またも欠場を余儀なくされてしまう。
こうして紆余曲折を経て、ようやく実現するのが4.22代々木でのリマッチ。山崎にとっては復帰戦で“ぶっつけ本番”のタイトルマッチになるが、いい練習ができているだけに不安はないという。
タイ人選手とのスパーリングでムエタイのリズムに慣れるなど、やれることはすべてやったという自信もある。
公開練習で、タイトル獲得とゲーオへのリベンジ、どちらの意味合いが強いかと聞かれた山崎は、こう答えた。
「ゲーオを倒すことが僕の中ではすべて。リベンジという言葉すら超えた試合になると思ってます」
ファイターとしてのすべてをかけて臨み、すべてが問われる一戦。「前回とは違う結果になるということだけは言える」という山崎、注目すべきは勝ち負けだけでなく、その生き様そのものだ。
文・橋本宗洋