(会見でのウラノと高木。前向きな退団だけに、湿っぽさはなかった)
その頭脳的な闘いぶりから“バトル・ソクラテス”とも呼ばれるヤス・ウラノが、所属するDDTを退団、フリーとして活動していくことが、4月27日の記者会見で発表された。会見には、DDTの“大社長”高木三四郎と鶴見亜門GMも同席。
「41歳、キャリア17年。終わりを意識しながらプロレスをやることも見えてきましたし、やり残したこと、やりたいこともあります」
そんな考えから、DDTでの試合を減らして外での試合機会を増やしたいという相談を受けた高木が「だったらフリーに」と背中を押したのだという。高木曰く「自由なスタンスになって見えてくるものもあるはずですし。DDTにはフリーで参戦すればいいし、やりたいことを後押ししてあげたい」。すでに8月20日のDDT両国国技館大会への出場は決定しているそうだ。
フリーとしての具体的な動きは未定ながら、「いろいろな選手と試合をしてみたいですね。闘ったことがない選手もたくさんいますし、実際にやってみないと分からないこともありますから」と語ったウラノ。また、DDTには竹下幸之介を筆頭に1995年(度)生まれの選手が多く、「自分が大学に入学した年なんですよ。その年に生まれた、団体の未来とも試合をしたい。DDTからは離れますけど、DDTとは闘っていきます」と言う。
そんなウラノに、高木は「団体作ったら? 『レスリング・ソクラテス』とか。“闘いを哲学する”みたいな感じで」とのアドバイスも。
DDT所属ラストマッチは5月28日の後楽園ホール大会。HARASHIMA、高尾蒼馬とのユニット・スマイルスカッシュでの試合を望んでいるという。盟友とも言えるHARASHIMAとは、退団について2度にわたって話し合ったとか。
「最初は(そんな話は)やめてよ、って感じになってしまって」
フリーとしてスマイルスカッシュに参加し続けるかどうかは、現在のところ検討中。自身にも思い入れがあり、ファンの多いユニットだが、どのような形になるか。
ともあれ、フリーとなれば活動の幅が広がるのは確実。本人の希望通り新鮮なマッチメイクも実現する可能性が高い。その技巧と戦略で、さまざまなリングを賑わせてくれるだろう。
文・橋本宗洋