4月29日大分別府大会、内藤哲也がジュース・ロビンソンを迎え撃つIWGPインターコンチネンタル選手権(IC王座)が開催される。

5月の福岡まで続く「Road to レスリングどんたく」シリーズでも、再三タッグマッチが組まれてきた、新日本体タグチ・ジャパンと、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン。棚橋弘至がEVILと、高橋ヒロムがリコシエとのJr戦線、さらにNEVER無差別級6人タッグ王座などを巡り幾つかある対立の構図が徐々に整いつつあるが、内藤とジュースのIC選手権だけは疑問符を持たれても仕方がない唐突なマッチメイクだった。

しかし、ここへ来てタイトル戦にあわせたようにジュースが急成長を遂げている姿を見ると、ここ最近その存在意義を失いつつあったIC王座の新たな存在意義が浮き彫りになって来たような気がする。

いま、IC王座の白いベルトは悲しい位にぞんざいな扱いを受けている。22日・23日の後楽園ホール、続く27日の広島グリーンアリーナ大会でも、内藤はインターコンチネンタルの白いベルトを蹴り飛ばしながら入場することが恒例行事になりつつあり、このパフォーマンスがファンの間でも一定の支持を受けているのは紛れもない事実だ。内藤に蹴られ汚れて行くベルト、これもまた内藤色に染まったIC王座の一つの回答かもしれないが、やはりタイトルの変遷を辿るとICといえば中邑真輔というイメージを未だに払拭できていないのも一つの理由かもしれない。

中邑退団後の王者の変遷は、ケニー・オメガ、ラダーマッチという若干首をひねるような形で戴冠したマイケル・エルガン、そして内藤の手へと渡ったが、本人も公言する通りあまりにもテーマ不在。4月9日の両国大会「SAKURA GENESIS 2017」では唯一タイトルマッチが見送られるなどぼんやりした状態でここまで来てしまった感があるのだ。

そこで急浮上したのがジュース・ロビンソンという挑戦者だ。当初「格が違いすぎる」「全く意味のないテーマ」と全否定して来た内藤だが、奇しくもシリーズを通して戦う中で、ジュースというレスラーの能力を覚醒させる名トレーナーのような役割を果たしている。

この抗争がクローズアップされた当初こそ、自慢のドレッドヘアを引っ張られメッチャメチャに叩きのめされたジュースの姿ばかりが記憶に残っているが、前述の両国大会で内藤からタッグながらパルプフリクションで金星を挙げ、広島大会ではEVILからピンフォールとその勢いはとどまることを知らない。明らかに内藤と絡んでからのジュース・ロビンソンは格を上げつつある。

放置状態だったIC王者に課せられた真のテーマは「IWGPインターコンチネンタル選手権の新たな価値の創造」なのではないだろうか?今後を考えると、復活へ向けて志半ばといった印象の棚橋との再戦、広島でNEVERのタイトルを失った後藤洋央紀、鈴木軍や、ひょっとしたらロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのパレハ(仲間)の中に、次の内藤のターゲットが眠っているかもしれない。

新たなIC王者と価値の創造の先にあるのは「内藤のベルト」というイメージだけでなく、最終的にはIWGPヘビー級との2冠王者という未踏の領域であることは最近の彼の発言からも十分推測される。

「俺からはIWGPヘビー級王座には近づいて行かないですけど、IWGPインターコンチネンタル王座が手元にある状態で、IWGPヘビー級王座から勝手に近づいてきてしまうということはありえると思います」

この言葉が何を意味するか?G1が終わり、今年の下半期、IC王座を取り巻く内藤哲也のジュース・ロビンソン戦後の次の一手が気になるところである。

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