大日本プロレスのグレート小鹿が75歳の誕生日を迎えた4月28日、後楽園ホール大会でタッグマッチに出場。日本最年長出場記録を更新して話題になった。
今年で格闘キャリア55周年を迎えた“日本最高齢レスラー”のグレート小鹿は、藤田ミノルとのコンビで、星野勘九郎、塚本拓海組とハードコアマッチで激突。開始早々に相手の凶器攻撃で額から大量出血し、さらにイス攻撃でもいたぶられるなど苦戦を強いられたが、小鹿は張り手、顔面かきむしりなどで反撃。最後は自らチョークスラムで星野からフォールを奪い、自身の記録更新を白星で飾った。
この日の記録更新で、世界最年長記録と言われる故ジプシー・ジョーの77歳での出場に近づいたことについて聞かれた小鹿は、記録更新に意欲十分なことを明かし、「毎日コンディションを作って、いつでもオファーがあったら試合に出たい」と語った。
小鹿しかり、60代から70代の高齢レスラーが何人も現役でプロレスのリングに上がり続けている。小鹿はリングに上がり続ける理由を「試合に出て一生懸命やればお客さんが拍手をして喜んでくれる。それである程度満足」と語っている。
2015年11月に両国国技館で行われた天龍源一郎の引退興行で、「140歳対決」と注目を集めたのが、当時73歳のグレート小鹿と、当時67歳のザ・グレート・カブキのタッグマッチだった。ラリアットを狙う小鹿に、カブキが得意技の毒霧を浴びせると、満場の観客から大歓声が沸き起こった。現在、68歳のカブキは居酒屋「かぶき うぃず ふぁみりぃ」を経営する傍ら、2月にはW-1の武藤敬司がプロデュースするプロジェクト「プロレスリングマスターズ」のメインイベントに出場し、4月には「藤波辰爾デビュー45周年記念ツアー」に参戦するなどコンスタントに試合に出場している。
その「藤波辰爾デビュー45周年記念ツアー」でザ・グレート・カブキとタッグマッチで対決した藤原喜明も現在68歳の高齢レスラーだ。「関節技の鬼」「昭和のテロリスト」「問答無用の仕事師」などの異名で知られる藤原は、2007年、胃がんが見つかり胃の2分の1を切除したが、2008年12月にリング復帰。復帰戦の対戦相手である佐山聡の執拗な蹴りを受けながら、藤原は「生」を感じたという。
藤原は「佐山は俺に早く倒れて欲しくて腹を狙ってたらしいんだけど、俺はボコボコにされながら『生きてるって素晴らしいことだな』って思ってた」と語っている。現在、藤原はIGFの新ブランド「NEW」の相談役に就任し、旗揚げ戦で平成の関節の鬼・青木真也と対戦。時間切れ引き分けに終わったが、藤原は試合後「あとは任せた。これからはお前の時代だ」と異例のメッセージを青木に送った。
日本では他にも、65歳の長州力や63歳の藤波辰爾、海外では76歳のドリー・ファンク・ジュニアや74歳のミル・マスカラスなどのレジェンドレスラーがコンディションを整えてリングに上がり続けている。入場やちょっとした動きだけでも観衆を湧かすことができるプロレス界の達人たちの姿に、子供の頃に憧れた面影を感じるだけでファンは幸せであり、レスラー自身もファンから拍手や声援を送られるリングから離れ難いのだろう。ゆえに高齢レスラーは、ファンのため、自分のためにこれからもプロレスのリングに上がり続ける。