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 2014年に放送された連続ドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』が、この夏、映画になって帰ってくる。人妻・紗和(上戸彩)が高校教師・北野(斎藤工)と禁断の恋に落ち、人生を狂わせてしまう姿を描いた同作。ドラマのラストでは別れを選ばざるをえなくなった2人だが、映画『昼顔』はその3年後が舞台。離婚した紗和が暮らす町に北野が仕事で訪れ、再会したことから2人の運命は再び動き出す。

 禁断の恋人・北野を演じた斎藤工は、同作で大ブレイク。艶のある演技で女性ファンを虜にした。斎藤は今回の映画化や禁断の恋に対し、どんな思いを持っているのだろうか。話を聞いてきた。

上戸彩は「太陽みたいな人」

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ーー2度目の北野ですが、どのような役作りを?

斎藤:リアルタイムで2、3年後っていう設定だったので、実際の年齢変化とも重なって、いろんなことが自然でした。そのために無理に何かを起動したとかはなかったです。再放送もされていたので、たまに作品を見直したりはしていました。

ーードラマが終了してから映画化の話が来るまで、どのくらいの期間があったのですか?

斎藤:一部のキャスト、スタッフの間で噂はちらほらあったんですけど、諸条件がフィックスされないと正式なオファーとして回ってこない。制作サイドが決められたことを、僕は「イエス」と。

噂を聞いている段階でも、上戸彩さんがお母さんになられるということもあって「今じゃないだろうな」と感じていました。「着地した」と聞いたのは、撮影に入る半年前とか。ちょうど今から1年前です。

ーー共演者の上戸さんはどんな方ですか?


斎藤:上戸さんはすごく正直でまっすぐな人なので、こういう人もいるんだって思いました。彼女は裏表がないんです。「共演者」「スタッフ」とかっていう、垣根がないんです。仕事を一緒にする人にとって太陽みたいな、みんなを照らす人です。

芸能界ってよくも悪くも非現実的な人が集まっている場所だなって思うんですけれど、一線で活躍している人は人としてまともな人が多いですね。そういう方達を見ると、僕も清く正しくいこうと思います。

グッとくるのは「呼び名が変わる瞬間」

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ーー北野に共感する部分はありますか?

斎藤:正義のヒーローみたいな役柄は、演じていて割と早い段階で飽きてしまうんです。ならずものの方がいい。北野の持っている、どこか生々しさだったり、もどかしさ、ネガティブな部分にすごく共感します。理解しようというよりも愛おしくなる。本人にとっては短所なところが、憎めない。そういうところが彼の罪ですよね。

ーー映画の中盤で、北野と紗和が衝突する場面もありましたが、そういったところにも斎藤さんは共感できますか?

斎藤:「自分は我慢しているのに…」って自分が基準になる時に、ああいう衝突が生まれるのだなと、映画を見て思いました。フェアじゃないことで、ヤキモチを感じてしまう。

やりようはあるのにできない自分。自分に対してですよね、北野の怒りは。剣先は自分に向いている。相手を傷つける言葉を発してしまった自分を、同時に悔やみ、恥じる…。そういう気持ちは分かりますね。

ーー映画には、いつまでたっても北野を「北野先生」と呼ぶ紗和に対し、北野の妻である乃里子が「そういうところが男の人にはたまらないのよ」と言い放つシーンがありますよね。斎藤さんは女性からなんと呼ばれたいですか?

斎藤:呼び名が切り替わる瞬間はグッときますよね。名字だったのが名前になる。「君」とか「さん」が取れる瞬間。最初に手をつないだ瞬間に近い感じがします。

「許されない恋愛の末路をこの作品で提示すべきだと思った」

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ーードラマのラストを気に入っていたと伺いました。映画のラストにはどのような感想を持っていますか?ドラマでは1度別れた北野と紗和ですが、再会してよかったと思いますか?

斎藤:よかったと思いたいですね。ドラマは変に期待せずにすむ終わり方。これは北野に共感できる部分ですが、彼は自分をどこか諦めている。自分に期待しすぎていない。僕らは生きているうちに、諦めることをたくさん選択していかなければならないんです。ドラマの終わり方は、彼にとって明日を迎えやすい選択だったのだと思います。

ただ、この2、3年で作品のテーマ性と世の中の出来事が繋がって…その末路というものを1つ、この作品の中で提示すべきだと思っていました。作品の持っている贖罪を誰かが背負わなければならない。

昆虫もそうですけど、世の中ではメスが強いんです。この作品も、女性がいかに力強く、ある種“乱世”と言えるこの世の中を生きていくかっていう物語だったので、そういう意味ではこのラストは生物学的な終わり方だったなと。北野としては、納得せざるをえないですよ(笑)。

昼顔妻を作らないために…「結婚するなら別居婚で」

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ーー今後、「昼顔妻」を作らないために、斎藤さんからアドバイスはありますか?

斎藤:結婚をしないことですね(笑)。それが一番の防御方法です。もし、結婚するなら僕は日本の価値観とは違うタヒチの方とかとします(笑)。

それはさておきやはり、自分が浮気しないことじゃないですか。共存する人は合わせ鏡だと思うので。自分に非を作らないことですね。あと、一緒にい過ぎないとか。「結婚しよう。別居から始めよう」って(笑)。自由な空間があってもいいじゃないですか。トイレとか気使いませんか?

ーー女性のトイレ、気になりますか?

斎藤:いや、逆に自分が気を使っている感じが嫌だな、っていう(笑)。それで見えない上澄みみたいなストレスが溜まっていったら嫌だ。相手のせいにしてしまうかもしれない。

自分の時間と空間を確保しながら尊重して共存していった方が僕はいい。その間相手が何しているかは見えないけど。人といるって「見えない時間」のことだと思うんですよ。彼氏が働いている時間とか分からないじゃないですか。「見えない時間」を怖がらない。臆さない、そういう関係を築けた方が僕はいいと思う。


ーー斎藤さんの恋愛観までお聞きできてよかったです。ありがとうございました。

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 映画『昼顔』は2017年6月10日公開。斎藤が「納得せざるをえない」と語ったラストとはどのようなものなのか。紗和と北野の行き着く先を、是非スクリーンで見届けてほしい。

インタビュー:堤茜子 平石結衣

テキスト:堤茜子

写真:山口真由子

映画「昼顔」公式サイト
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映画「昼顔」6月10日(土) ROADSHOW
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