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(上野に対し力量の違いを見せつけた竹下。しかし試合後は「同級生」に戻った)

DDTグループのイベントで、若手選手が主体のDNAが5月10日に初の後楽園ホール大会を開催した。若手選手たちの出世争いと同時に、大物選手へのチャレンジマッチも見どころとなっているDNA。この後楽園大会でも、ビッグネームが続々と登場した。

ノアの潮崎豪は、引退をかけた七番勝負を行なっている鈴木大に容赦なくチョップを打ち込み、最後は豪腕ラリアットで勝利。桜庭和志はUWFインターナショナルで同門だった山本喧一の弟子・岩崎孝樹に勝利している。

ほかにもTAKAみちのく、鈴木鼓太郎、岡林裕二といったビッグネームが参戦したこの大会ではむしろ異色だったものの、竹下幸之介vs上野勇希のシングルマッチも観客に深い印象を残したはずだ。「大阪市立咲くやこの花高等学校同級生対決」というサブタイトル通り、竹下と上野は高校の同級生。1995年生まれの21歳という若者同士の対戦だ。

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(「ゆりかもめ」から抑え込んで試合に勝ち、そのままノーコメントだった桜庭。あくまで淡々としていた)

だが、やはりこの試合もチャレンジマッチ。両者の立場は大きく違う。先日、初勝利をあげたばかりの新人である上野。対する竹下はDDTの頂点・KO-D無差別級王座を保持している。竹下は高校時代にプロデビューしており、もう何年も第一線で活躍している。そんな“同級生の竹ちゃん”を応援に行ったDDTの大会で、上野はプロレスの魅力に取りつかれ、やがて自身もレスラーの道を選んだのだった。

“同級生のユウキ”が自分を見て進路を決めたのだから、竹下が嬉しくないはずはない。それでも今回の対戦が決まると「同じ団体に入ってきたというのは、僕を超えられると思ってるからですかね」と、あえて突き放すようなコメントを残した。

試合でも、竹下は格の違いを見せつけるようにパワフルな攻撃を浴びせ、上野のボディにダメージを与えていく。最後は必殺のクロスアーム式を使わず、通常バージョンのジャーマン・スープレックスで勝利した。

それでも、驚異的な跳躍力を活かしたドロップキックを顔面に突き刺すなど、上野も健闘。竹下派は試合後、同級生に戻って「グッとくるものがありましたね」と語った。また「(地元の)大阪でも闘ってみたい」、「いつかこれ(チャンピオンベルト)をかけてやるときも来るでしょう」とも。

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(メインでは樋口和貞がメイク・ベイリーとのDNA頂上決戦に勝利。7月4日にも後楽園大会が行なわれることが発表。樋口はその日でDNAを卒業し、DDT入りする)

「そんなことあるのかって思われるかもしれないですけど、それを言うなら今日、こうして同級生が後楽園ホールで試合してるんですから。ユウキは必ず上がってくる。そういう気持ちの強さがある」そう語った竹下に対し、上野も「いつか絶対に超えたい」と再戦を誓っている。試合後、握手を拒否したのは決意の表れだろう。

試合をしながら、竹下は「あぁ、上野勇希はプロレスラーになったんだな」と思ったそうだ。これから何度も続くであろう対戦、DDT屈指のライバルストーリーになるかもしれないドラマが、この日から始まった。

文・橋本宗洋

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