
■広報担当者「本来であれば全面的に販売を中止せざるをえない状況」
「それにつけてもおやつはカール」でおなじみの国民的スナック菓子「カール」の販売が、東日本で終了することが分かった。製造元の明治によると、生産を愛媛県内にある工場に縮小し、福井・岐阜・三重から東の地域での販売を終了、「カレー味」などの一部商品は全国で生産終了するという。

1968年の発売開始依頼、ほのぼのとした「カールおじさん」のキャラクターとともに半世紀近く親しまれてきた「カール」。全盛期の90年代には年間約190億円の売り上げを誇ったが、最近での売り上げは年約60億円と、約3分の1ほどに低迷している。

明治の広報担当者によると、東西での売り上げの差はなかったもののの、物流コスト面から愛媛の工場に近い西日本エリア限定にしたといい、「本来であれば全面的に販売を中止せざるをえない状況だが、長い間愛されてきた商品ということもあり、地域限定で販売を継続していきたい」としている。
■ネットでは「発売中止になる前に『ヤバめです』と一言、言って欲しかった」
報道を受け、街では
「えっ!知らなかった!割と好きで食べていました」
「そんなん寂しいじゃないですか。子どもの頃は指に挟んだりして食べていましたね」
「ショックです。なくさないでほしいです」
「なくなる意味が分からない」
など、驚き、悲しむの声が聞かれ、新橋のサラリーマンも「子どもが買ってきてくれと言うことがあるので、悲しい」としんみりした様子だった。


また、25日のTwitterのトレンドワード1位に「カール」がランクイン、
「これからの大阪土産はカールに決定だな」
「あの奥歯にやたらとへばりつくことから子どもに歯磨きの大事さを教えるのに最適なお菓子がなんてことだ!」
「カール、発売中止になる前に『ヤバめです』と一言、言って欲しかった」
「カールおじさんも無職になる時代だってことだよね。恐ろしいよ。恐ろしい」
「最近買ってなかった。悲しむ資格がない。俺たちはカールを助けられなかった」
といった具合に、多くの投稿がなされている。
■「写真映えする果汁グミのような商品にシフトしていくのでは」
今回の明治の決断について、コンビニ評論家の田矢信二氏は「コンビニの棚を見ていると、新しいスナック菓子がどんどん発売されて、"王道"だったカールが減っていく印象を持っていました。いつかこういう時が来るのかなとも思っていました」と話す。

田矢氏はカールの売上減少の背景について「世代交代」と指摘する。
「今コンビニの陳列棚を席巻しているものには大きく分けて二つあります。一つはコンビニオリジナルの商品で、品質・味ともにメーカーにほとんど負けていません。もう一つはメーカーが負けじと販売するバラエティに富んだ商品です。そこで、カールのような王道の商品が消費者に色あせて映ってしまうようになっています」。
田矢氏によると、定番の人気商品でも、"これだけのファンがいるから"とブランド戦略や商品開発をおろそかにしてしまうと衰退してしまうのが今の時代で、メーカーによっては、一番人気の商品をさらに開発していくケースもあるのだという。
東洋経済オンライン編集長の山田俊浩氏も、「カールとは対照的にマーケティングに成功しているのはうまい棒。カールと違って、手を汚さずに食べられるという利点もある。また、多種多様な味や地域限定の味など、いろいろな策を講じている」と話す。

また、消費者の価値観も変化しているようだ。
田矢氏は「小さいときには指にはめて遊んだり、カール味になった指を舐めるといったジャンキー感が記憶に残っている世代もいると思いますが、若い世代はそうではなく、お菓子に『かわいい』の概念を持ち込むなど、価値観が変わってきています。端的に言えば、カールおじさんと果汁グミ、どちらがインスタで画力を持っているか。そこで明治は女性ウケが期待できて、写真映えする果汁グミのような商品にシフトしていくのではないでしょうか」と説明した。(AbemaTV/AbemaPrimeより)
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