日本将棋連盟は5月29日に行われた通常総会で、7人の理事が承認されたことを同日、発表した。再任となった佐藤康光会長(48)ら3人のほか、専務理事には順位戦で指さない「フリークラス」に転出した森内俊之九段(46)が就任。女流初の常務理事となる清水市代女流六段(48)ら4人が新任となった。総会後の記者会見で、佐藤会長は「課題は山積しておりますが、一歩一歩前に進めれば」と、意欲を見せた。各理事のコメント(抜粋)は以下のとおり。
会長 佐藤康光九段(48)
叡王戦がタイトル戦として34年ぶりに昇格し、8大タイトル戦となります。昨年秋からの一連の問題で、5月23日に三浦弘行九段と日本将棋連盟との間で和解の合意に至りました。将棋に関わる多くの皆様、三浦九段とご家族の皆様には長きにわたり、ご迷惑をお掛けしました。深くお詫び申し上げます。三浦九段の疑惑は晴れております。その周知により努めたいと思います。
本年3月には映画「3月のライオン」、また藤井聡太四段の活躍で将棋界を取り上げていただく機会が増えました。一過性にすることなく、全国の普及事業に関する受け皿もより大きくし、対応できるように努めたいと思います。3年後には東京五輪・パラリンピックが開催されます。東京・将棋会館がメイン会場の新国立競技場から近い立地を生かし、海外の皆様に世界有数の知能ゲーム「SHOGI」をアピールする絶好の機会です。
他にも課題は山積しておりますが、十八世名人資格保持者の森内俊之九段や女流棋士として初めて常勤理事となった清水市代女流六段などが新任として役員となり、皆張り切っております。一歩一歩前に進めればと思います。
専務理事 森内俊之九段(46)
フリークラス宣言については、今年ではなくて2年ほど前に、A級から降級するピンチがあり、その時に考えたので今年急に考えたことではありません。今年、佐藤会長が誕生するまで理事選など考えたことはありませんでした。若いころから切磋琢磨した佐藤会長ということで、自分たちの世代でもそういう時期になったのかなと。将棋界難しい時期にお役に立てればと思い、立候補を決意いたしました。
常務理事 脇謙二八段(56)
現在、関西ではすごくいい風が吹いています。5タイトル連続で関西の棋士が挑戦者になり、うち4人ははじめての挑戦。若い力が発揮されています。藤井聡太四段の活躍は、社会現象と言ってもいいほどです。若い力を活用して将棋界全体を盛り上げていきたいと思います。
常務理事 井上慶太九段(53)
藤井四段は関西所属の棋士で、関西の対局が非常に多くなっています。広報等、たくさんの問い合わせも来ております。非常によい風を普及や将棋教室のイベント等々、いろいろな分野で発展させていきたいと思います。
常務理事 森下卓九段(50)
10年ぶりの理事職になります。将棋界は非常に古い伝統があります。偉大な先人の力があって今日がありますので、その努力を引き継いで頑張りたいです。将棋界には真面目で魅力的な、有望な若手棋士が多数います。将棋界の財産です。十分輝く舞台を作ってあげたいです。
常務理事 鈴木大介九段(42)
(三浦九段とは)奨励会から一緒でした。昨年の暮れぐらいから、同世代の棋士として心苦しくなりました。三浦さんの名誉回復と将棋連盟の信用維持をすすめていきたいという一心で、同じ棋士同士で話したりもしました。三浦さんの潔白ははっきりしましたが、今後の名誉回復をやっていくこと、連盟の透明化や信用維持に努めてまいります。
常務理事 清水市代女流六段(48)
将棋界に思いもよらない事態が次々と起きました。何を信じていいか、自分自身もわからなくなってしまいました。そういう時に先人、諸先輩方が築いてこられた連盟がどうなってしまうのか、本当に心配でどうにもいてもたってもいられなくなってしまいましした。何か新しいもの、よりよい方向に進むきっかけとして、風を吹かせられるのであればと思います。
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