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 29日午前、北朝鮮が再びミサイルを発射した。ミサイルは東岸の元山付近から日本海に向けて発射され約400km飛行、島根県の隠岐諸島から北に約300km離れた排他的経済水域内(EEZ)に落下したとみられている。

 韓国軍は発射されたのが短距離弾道ミサイル「スカッド」とみて分析を進めると共に、更なる挑発行為に警戒を強めている。北朝鮮は今月14日と21日にも弾道ミサイルを発射しており、3週連続、今年に入ってからは9回目の発射だ。

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 自衛艦隊司令官、国家安全保障局顧問を務めた香田洋二・元海将は「試作品に近かった前の2回と今回は少し違うと思う。あの時は金正恩氏が視察して技術力を誇示し、新しいものを作ったことをアピールしたが、今回は淡々と撃った。そもそもスカッドはすでに実戦配備されているものなので、それをいつでも撃てるぞと示したかったのだと思う」と北朝鮮の意図を分析する。

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■米軍は"一番いいタイミング"に向けた準備をしている?

 米中の見方はどうなのか。拓殖大学の富坂聰教授は中国の立場について「北朝鮮のやり方に手を焼いている。早期に米朝会談を行って欲しいと思っているはず」と話す。一方、上智大学の前嶋和弘教授はアメリカの立場について「想定内。プレッシャーをかけ続けるしかない」との見方を示した。

 北朝鮮に翻弄される国際社会。頼みの中国による圧力も功を奏さず、アメリカはチキンレースで北朝鮮に負けているかのようにも見える。

 しかし香田氏は「それは逆だ」と話す。

 「米軍は大統領の命令に対する準備をする必要があり、その態勢はできていると思う。今、最大規模の海・空軍の兵力量が西太平洋に集結しつつある。これから空母ニミッツも来る。ただ、武力行使をするのに一番いいタイミングではない。朝鮮半島を挟み撃ちできればいいのだが、中国に遠慮して艦隊は西側にまだ入っていない。中国が同意するかしないか、その駆け引きを裏でやっているのではないか」(香田氏)。

 また、「韓国にいるアメリカ人が危ないとなれば武力行使を躊躇すると思う。ただ、アメリカは主導的に環境を作ることができる国。その上で、アメリカ人への被害が非常に小さいと見た時には、突然攻撃ということもありうる。可能性は極めて低いが、"奇襲"というのはそういうものだ」と話した。

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■日本人は安全保障の議論を

 朝鮮半島有事になれば、日本への影響も懸念される。

 香田氏は「憲法9条との絡みもあり、今の枠組みの中でどこまでやれるかだ。自衛隊にはすでに『破壊措置命令』が発令されているので、ミサイルや何かの破片などが国土に落ちて、国民の生命・財産に危険が及びそうな時は破壊すると思う。そのためにイージス艦が日本海で24時間態勢の警戒に当っているだろうし、地上ではPAC3も待機している。これで十分に迎撃が可能かどうかという議論は別にして、日本としてやれることやっていると思う」と話す。

 香田氏によると、国によっては今回のようなミサイル発射を「攻撃」とはみなす場合もあるというが、日本政府の伝統的な解釈ではそうではない。

 「第二次大戦の経験もある日本は、解釈のラインを非常に高く設定している。限定的ではあるが、相手がまさに撃ってくるという時に敵基地を反撃をする能力を持ってはどうかという議論も始まっている。決心すれば日本は短期間でその準備ができると思うが、国民の大多数が同意しなければならない話だ」(香田氏)。

 また、「日本はスパイ活動はやらない国だが、地理的にも近く、継続的に見ているという点で、北朝鮮情勢の変化に対する感性やその読み解き方については質の高いものを持っていると言っていい。たしかに情報収集能力はアメリカの方が圧倒的に高いが、日本は独特の強みを持っているので、二国は補完関係にある。しかし、今後は情報分野についても力を入れていくべきだと思う」とした。

 さらに「先月、ミサイル発射のニュース速報で地下鉄を止めたことに対し批判的な意見もあった。パニックが起きてもいいからとにかく早く警報を出すのか、それともじっくり待つのか、そのバランスについては国民の間でまだ同意がない。排他的経済水域に落下する可能性がある場合にもJ-アラートを鳴らすのか、なども含め、議論を深めていく必要があると思う」と指摘した。(AbemaTV/AbeamaPrimeより)

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