(6月12日の記者会見。高木のファイヤーポーズを決める大家とディーノ、ササダンゴ)
6月25日に開催されるDDTの後楽園ホール大会は、夏の大一番・8.20両国国技館大会のKO-D無差別級タイトル挑戦者が決まるなど、今後の流れを左右する重要なものだと言える。そんな大会で、昭和プロレスファンには懐かしい形式での試合が行なわれることになった。その発端は、6月12日の記者会見だ。
この会見では、6.25後楽園での高木三四郎&大家健vs男色ディーノ&スーパー・ササダンゴ・マシンが発表に。DDTの“大社長”高木と、団体初期を知る選手たちのタッグ戦だ。
ところが、大家が「高木さんに恩返しを」と意気込みを語ると、ディーノ&ササダンゴが揃って「勝利をアシストすることが恩返しなのか」と異議を唱える。確かに、プロレスでいう恩返しとは「師匠、先輩に勝つこと」だと言われている。
「じゃあお前らは高木三四郎に勝ったことがあるのかよ!」と詰め寄った大家だったが、ディーノもササダンゴも勝ったことがあるとアッサリ判明。ひとり未勝利の大家は、2人の口車に乗せられるかのように「高木さんのコスチュームを探せと言われて倉庫を3日間探してもなかったが、結果、高木さんの家にあった」、「ファミチキを買ってこいと言われて買ってきたら“今は気分じゃない”と言われファミチキを返品させられた」と“暴政”に苦しんだ過去を告白。
<6.25後楽園では、石井慧介が全日本プロレスの練習生時代に付き人を務めたカズ・ハヤシ(WRESTLE-1)とタッグを結成することに。テーマは原点回帰だ>
その怒りのままに、DDTマットに本能寺の変を起こすと宣言。
なにしろ思い込んだらなりふり構わないのが大家健であり、代表を務めるガンバレ☆プロレスでも後楽園ホール大会を強行。結果、成功させている。本能寺の変を起こしても、すぐに討伐されてしまうのではないかという危惧もある中、「とりあえず明智光秀になるんだよ!」と大家。しかも「1vs3でやってやる!」と宣言した。
大家vs高木&ディーノ&ササダンゴかと思いきや、高木vs大家&ディーノ&ササダンゴの1vs3。あからさまに卑怯な手ではあるが、高木に勝つためなら手段を選ばないということか。
1vs3といえば、80年代の新日本プロレスマットにおいてアントニオ猪木と国際軍団(ラッシャー木村&アニマル浜口&寺西勇)が対戦した形式だ。そう言われてみれば、かつて大家、ディーノ、ササダンゴはユニット「#大家帝国」を結成。主宰興行に参戦させるという形で新日本の棚橋弘至に立ち向かったことがある。
そんな歴史を大家が踏まえているわけではないと思われるが、ともあれ1vs3マッチは決定。新たなファンを増やし続けているDDTだが、初期からのファンにも気になるカードとなった。
しかし、この時点では大家は気づいていなかったのだが、高木は3月のさいたまスーパーアリーナ大会において「戦国武将マッチ」で豊臣秀吉に扮している。つまりは明智光秀=大家健を討つ立場なのだった。
文・橋本宗洋