将棋界の新たな天才は「マンガのような強さ」。史上最年少でプロ棋士となった藤井聡太四段(14)はデビュー以来、無敗のまま歴代単独2位となる25連勝を記録している。AbemaTVのニュースチャンネル、AbemaNewsの特集企画「藤井四段に『2度負けた男たち』の証言」が6月14日に放送され浦野真彦八段(53)、竹内雄悟四段(29)、都成竜馬四段(27)の3人が、藤井四段の強さについて語った。浦野八段は「アニメのキャラのように、どんどん強くなっていく」と、底が見えない天才棋士を表現した。
浦野八段は藤井四段をプロ棋士デビュー前、小学2年生のころから知っている数少ない棋士の1人だ。「私が最初に指したのが、小学2年生の時。『この子、最年少棋士になるって言うてるんですよ』って紹介されて」。紹介された翌月に行われた詰将棋解答選手権で、プロでも解くのが難しいとされる詰将棋を8歳の少年が半分解いたという。「将棋の実力よりそっちが衝撃やった」と、当時を振り返った。藤井四段はその4年後、小学6年生で初優勝をして以来、現在3連覇中だ。
詰将棋でつちかわれた「瞬時に先を読みきる力」は、プロ入り後もいかんなく発揮されている。浦野八段が「彼は読みの映像がクリアじゃないかと思う。頭の中の将棋盤が」と話すと、都成四段も「それは絶対にあると思いますね。そうじゃないと、あんなに早く詰将棋は解けないと思います」と同意した。将棋棋士の間では、頭の中で描く盤の色などが人によって違うと言われるが、藤井四段の場合はより鮮明に見えているのかもしれない。
詰将棋による終盤の強さは以前から評判だったが、プロ入り後に評価されているのは、その成長力だ。浦野八段は「いろんな人のいいところを全部吸収している感じ。この20何連勝のうちに、確実に強くなっている。よくアニメのキャラであるけれど、戦っている相手の良さを吸収して、どんどん強くなっていく」と表現した。都成四段も「少年漫画みたい」と納得。また竹内四段は、藤井四段の勝ち方について「教科書みたい。角の使い方がうまい」と説明した。
藤井四段が26連勝をかけて戦うのは、6月15日に行われる名人戦・順位戦C級2組での対局(AbemaTV将棋チャンネルで生中継)。400年以上の歴史があるとされ、将棋界で最も歴史と格式があるビッグタイトル・名人へと続く順位戦だが、デビュー間もないだけに5つある中で最も低いリーグ、C級2組から挑戦がスタートする。竹内四段が「先のことなので分からないですけど、めちゃくちゃ強い棋士になるのは間違いない」と予想すると、浦野八段は8つあるタイトルすべて独占も可能だという。「八冠王になっても驚きません。本当に何があっても驚かない」と付け加えた。
公式戦で2度対戦し、敗北した3人だからこそ感じた藤井四段の実力と可能性。これらが十分に発揮され、本当に藤井八冠王が誕生した際には、再びこの3人で「あの頃の藤井さんは…」と語られるかもしれない。
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