7月2日ディファ有明大会で開催された「PANCRASE288」(15時~AbemaTVで生中継)。「RIZIN」での敗戦から6ヶ月、パンクラス初見参となる村田夏南子の復帰戦や、日本MMAのレジェンドファイト、近藤有己vsミノワマンなどが話題となっているが、国内のウェルター級頂上決戦といえる、パンクラス・ウェルター級王者の三浦広光が阿部大治(2位)を相手に行う初防衛戦は、両者が総合格闘技の荊の道を歩んできたという意味でも興味深い。
対戦相手の阿部大治は、元々は中学生の時に柔道全国ベスト16、高校ではインター杯優勝、全日本柔道連盟の国際大会で3位の実績を持つ柔道エリートだ。その後K-1やPRIDEに触発され打撃に開眼キックの世界でもアマプロ両方で高いKO率とともにMMAデビュー、わずか2年でパンクラスのタイトルに挑戦は、パンクラスの24年の歴史でも最速だという。
以前から海外での活躍を切望しておりUFC挑戦を公言しつ続けてきた阿部。パンクラスでのキャリアがまだ4戦という意見も少なくないが、勢いに乗る新鋭が、このままタイトルに手をかけ次のステージへ到達するのか注目だ。
しかし実績と、積み重ねてきた格闘技への経験値で行くと三浦広光は、間違いなく国内屈指のMMAファイターの1人といえる。MMAでデビューし、ボクシングに転向、そして再度MMAの門を叩き王者となった35歳の三浦。
実はこちらも格闘技のスタートは柔道で、大学生時代には県大会で2年連続準優勝、正力杯でベスト8の実績の持ち主。その後サンボの全日本で優勝、パンクラス、DEEP、HERO'S、R.I.S.E.そしてWECと世界を股にかけ活躍するも、ボクシング転向。9戦無敗でOPBF東洋太平洋スーパーミドル級に挑戦し敗戦しボクシングを引退、2015年に再びパンクラスのリングへと復帰した。
もともとメジャー団体のWEC時代はカーロス・コンディットやジェイソン・"メイヘム"・ミラーと互角に戦い抜いた三浦。一度は総合格闘技の世界を去りながらも、ボクシングの世界でも一流を極め結果とともにテクニックも磨いてきた。
ここまで来ると対する阿部が若干落ちる錯覚もあるかもしれないが、こちらは勢いや若さ、これからの将来を見据えて考えたときに、今がピークの三浦と対戦することで得ることも大きいし、凌駕してしまう可能性も十分に秘めている。
調印式でも三浦は「自分と挑戦者の阿部以外はレベルが落ちる」と唯一警戒している相手であることを明かすなど、警戒を強めているが、ともに紆余曲折を経てコンプリートファイターの道を歩んだ両者の対戦は見応えのあるものになりそうだ。