2017年上半期の新日本プロレスのタイトル戦線は、オカダ・カズチカがIWGPヘビー級の防衛ロードと共に名勝負製造マシーンとして、そのスタイルを確立した半年間といえるだろう。
その一方で、内藤哲也と棚橋弘至のリング外の争いに終始し、さらに存在意義が問われることなったIWGPインターコンチネンタル王座、鈴木軍のユニット総力での介入で新たなキャラクターを確立しつつあるNEVER無差別級王座。新日本プロレスの3つのタイトルの後半に向けた今後の展望を見ていこうと思う。
IWGPヘビー級王座に関してはオカダ・カズチカの王座防衛記録更新とG1以降の対戦相手に注目だ。まだ2017年折り返しの時点でベストバウトの話題は時期尚早だが「1.4と6.11のオカダ対ケニー・オメガのどちらか?」というのが大方の意見だろう。
この二人の対戦は、すでに世界のプロレスのスタンダードから逸脱したハイレベルなものだ、見る側も神経をすり減らすようなこの組み合わせに当分見たくないという声もある。この2試合に加え2017年のオカダは、名勝負を連発して来た、いわゆるここ数年賛否両論だった「オカダ優遇」を試合内容で証明をしてた感がある。
1月以降、ケニー・オメガ、鈴木みのる、柴田勝頼、バッドラック・ファレ、ケニー・オメガと、ハイペースで防衛を重ねて来たオカダはLAで開催された「ロサンゼルス G1スペシャル in USA」でコーディー・ローデスを下し7度目の防衛を達成、いよいよ自身の2013年の防衛記録8へ残り1回、同時に来年の1.4で自己の最高記録の9回防衛に到達する。そこから先は橋本真也の9回(1994年)、永田裕志の10回(2002年)、棚橋弘至の11回(2011年)も視野に入ってきた。
真夏の「G1クライマックス27」の結果と翌年のIWGP戦の権利証争いのカードで情勢は大きく変わりそうだが、G1明けの防衛戦は10.10両国大会となる、まずは秋の大一番に勝利することで、今後も目標や争う相手も明確になることだろう。
一方で内藤哲也から棚橋弘至が「救出」したIWGPインターコンチネンタル王座は、今後の役割について再びその価値が問われることになるだろう。内藤と棚橋の対戦前の舌戦、そして今年に入ってからは内藤の「ベルト破壊」の話題だけがクローズアップされてきたIC王座。いざ棚橋の腰に戻った時点でこのタイトルがどのような立ち位置で今後どのような役割を果たして行くかは未だに不透明だ。
しかもこのタイミングでアメリカでケニー・オメガが初代王者として戴冠したIWGP USヘビー級王座の誕生で「海外マットにおいての、IWGPヘビー級王座への登龍門」という大義名分も失ってしまった。内藤の敗戦により「封印」は免れたが、その存在意義に関しての議論は続きそうだ。
そんな新日本プロレスのタイトル戦線において独特の立ち位置を確立しつつあるのがNEVER無差別級王座だ。もともとは若手登竜門的な立ち位置だったが現在の王者は大ベテラン、鈴木みのる。後藤洋央紀からのタイトル強奪から「鈴木軍」の狡猾な介入プレーで、後藤とのランバージャック・デスマッチでのリマッチ、オカダをセコンドとしてして投入したYOSHI-HASHIとの対戦も退けた。
いくら試合内容で善戦しても治外法権的に介入し、試合をぶち壊す鈴木軍をユニットごと攻略するという、もはや別ルールを築きつつある鈴木みのる。もはやシングルタイトル戦とは別枠で楽しみつつ、誰がストップ鈴木軍を実現するかは見物である。
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