「2020年を新しい憲法が施行される年にしたいと強く願っています」
5月、改憲派の集会でそう発表した安倍総理。「国会でなぜ憲法改正の話をしないのか」という追及に対して、「自民党総裁としての考え方はですね、相当詳しく読売新聞に書いてありますから是非それを熟読していただいて」と発言し物議を醸した。
安倍総理は6月末、さらに踏み込んだ。「ぜひ来るべき臨時国会が終わる前に衆参の憲法審査会に自民党の案を出したい」との意向を示したのだ。下村憲法改正推進本部長補佐は「11月の上旬くらいに少なくとも党内のコンセンサスが得られる必要があるのではないか」とコメントしている。
あと4カ月で自民党案をまとめ上げられるのか。都議選惨敗を受けて開かれた自民党憲法改正推進本部の会議では、中谷本部長代理が「非常に選挙結果は厳しいわけですからきちんと丁寧にまとめなければいけないな」と発言、船田本部長代行も「あまりあらかじめ期限を切って憲法改正議論をするというのは得策ではないと思っている」と述べるなど、党内でも議論はまとまっていない状況だ。
安倍総理の発言に「党議決定したことが総裁の一言でひっくり返るというのは今まで自民党の中で見たことがない」と疑問を呈した石破茂衆議院議員が8日、AbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演、自身の憲法論を語った。
石破氏は「安倍総理の改憲案は党議決定されたものではない。現在説明を求めている」とし、改憲案の説明についても「ない。聞いたこともない。安倍さんが言ったのは『3項を付け加えるのは国民的議論に値する』ということだけ。自分が『そう思う』『そうしたい』とは言っていない。みんなが忖度して、ああだこうだ言っている。自民党の党議決定は変わっていない」との認識を示し、「説明をしてほしい。野党時代から支えていたメンバーだっている。読売新聞を読んで下さい、と言われて読んだが、総理の考えはわからなかった。5月の時点からすでに2カ月が経過している。総裁の意向はわからない」と苦言を呈する。
また、安倍総理の改憲案では、9条1項2項を残したまま、新たに3項を設け、自衛隊を明記するというものだが、自民党が2012年に党としてまとめた改正憲法草案では、9条2項の「戦力の不保持」を削除し、代わりに9条の2に「国防軍」の創設を盛り込むという内容になっている。
「(自民党改憲草案の)9条の部分は起草委員だった。論理的に突き詰めればこれしかない。世界の常識」と改正案に自信を覗かせる石破氏は、「9条3項に自衛隊を明記すると、9条2項と論理的整合性が取れない」と指摘。
「国防軍」については、「陸海空軍のこと。ジャパニーズ・アーミーであり、ネイビーでありエアフォース。国民に定着した"自衛隊"という名称について一顧だにしないということではない。ただ、英語に訳したら"自警団"になるということだけは認識したほうがいい。"自衛隊=Self-Defense Forces"は英語の語感からしたら自警団だからだ」と話、「平たく言うと、わが国の独立ならびに国際社会の平和と安定に寄与するため、陸海空、国防軍を保持するというのが一番すんなりする。F-15があり、イージス艦があり、あれって軍隊なのか?と問われて、違いますと答える人はいないと思う。これほど当たり前のことを語ろうとしてこなかった。これが日本人の精神性を蝕んできた」とした。
また、「日本国憲法は日本が独立してない時にできた憲法。国家主権がない時の憲法。国家主権は連合国にあり、主権者はGHQのダグラス・マッカーサー。その時の憲法に、独立の組織たる軍隊が書いてあるわけない。そういう国に緊急事態条項、憲法秩序を守るための条項が書いてあるわけない。論理的に当たり前の話」。さらに「国の独立を守ることをたったひとつの任務とする軍隊なのか、そしてその行動規範はすべて国際法に準拠しているのか、この2つだけ確認してほしい」と強調した。
「総裁選で憲法改正が主要テーマになれば堂々と持論を主張していく覚悟がある」と週刊誌にコメントしていた石破氏。「主要テーマになれば、と言っているだけ。それを前提にしている」とした上で、「これから先、人口が急減していく日本、それにどうやって財政と社会保障を対応していくのが、日本最大の課題ですよ。安全保障もそうです。憲法改正というのは、本当に総裁選でも主要テーマになって、人口とか社会保障とか財政、安全保障よりも優先して主要テーマになることなのか」と疑問を呈した。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)
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