こんにちは。青木真也です。首投げは好きですが、不得手です。
7月半ばにプロレスで二日間の地方遠征(愛知、三重)をしてきました。遠征と言っても、2日間で新幹線での移動です。全国をバスで回る伝統的なツアーではないです。バスでの長期遠征は過酷と聞きます。若手レスラーのドキュメンタリーに出ていたりするので、バスでの長期遠征に比べれば、2日間の新幹線移動での遠征などきつくはないはずです。
きつくはない遠征のはずなのですが、2日間が終わってみると試合と移動で疲労は大きかったです。人前に立つことの消耗は、周りが思ってる以上のものなのです。削られていく。レスラーとして自分を見たときに、弱いのだと感じました。レスラーはタフさが大切です。
40歳を越えた先輩レスラーは「今月は16試合やる」と言っていて、改めてですがプロレスラーって凄いなと感じました。やってみないとわからない凄さです。強くて凄くないとできない仕事です。
桜庭和志の「プロレスラーは強いんです」は本当だ。桜庭さん。アジア人初のUFC殿堂入りおめでとうございます。桜庭和志はどでかい家に住んで、左うちわで暮らすべき人間だと思っています。
さて、各業界で業界内での言葉があるかと思います。隠語ってやつです。その業界ならではの言葉があって、いろんな業界の言葉を知るのは楽しみでもあります。業界ごとに言葉があって面白い。当然、プロレス格闘技業界にも隠語はあります。プロレスが力道山からの相撲の流れできているので、相撲と被ることが多いです。そんな中でも、インパクトがあるものを一つ紹介します。「首投げ」です。
首投げは格闘技の技名にもあるので直訳すると、技名です。ですが、隠語の首投げの意味は「セックス」なのです。語源は肩に手を回すのが首投げの体勢に似てるから、お互いに横倒しになるからなどの諸説ありますが、どれが正しいかはわかりません。
首投げ、最初は意味がわかりませんでした。「最近、首投げしてるの?」と聞かれても、全く意味がわからないので、あたふたしていました。業界の隠語は今の若い選手にも伝えていくべきものです。自分たちの世代で途絶えるのは、寂しい話です。
最後に遠征中の先輩レスラーから頂いた言葉で締めたいと思います。「無駄な首投げ 火事の元」今回の記事はこの言葉を世に出したいだけの気持ちで書きました。幸せな首投げ生活をお過ごし下さい。
文/青木真也(格闘家)