(左から佐々木、中澤、左右田、谷山。ドラマ性のあるマッチメイクとなった)
8月6日、後楽園ホールで開催の「Krush.78」(17:00~AbemaTVにて生中継)では、2階級のタイトルマッチが実施される。一つは、-63kg王座戦。チャンピオンの佐々木大蔵が谷山俊樹と対戦する。-65kgタイトルマッチでは、中澤純が初防衛戦。挑戦者はK-1で活躍する左右田泰臣だ。
佐々木は昨年、王座決定トーナメントで優勝候補筆頭の平本蓮を下し、チャンピオンに。初防衛にも成功した。しかし、今年2月に出場したK-1のトーナメントでは、中国のウェイ・ルイに完敗を喫している。ウェイは優勝してK-1王者になっているから、世界トップの壁を痛感させられたわけだ。
K-1まで「どこか浮かれていた」という佐々木。今回は6月の中国遠征に続き、ホームリングでの出直しの一戦となる。挑戦者の谷山はこれまで数々のタイトルを獲得してきた強豪であり、やはりK-1で敗退。この試合にはK-1再出撃の権利をかけた生き残りマッチという意味合いもある。
もちろん、「決定で負けた選手同士」という厳しい見方も予想されるが、佐々木は「厳しい目を糧に練習に取り組めている」とも言う。K-1という舞台へのリベンジという大きな目標ができた以上、ここは出直しという以上に勢いをつける勝利がほしいところだ。
対する谷山も、K-1で敗れたことが「ターニングポイントだった」と言う。Krushではこれまでの実績に関係なく、チャレンジャーとして臨むとも。「失うものがない」という強さを見せつけることができるか。谷山にとってもキャリアの大きなステップになりうる試合だ。
(左右田は公開練習でもマスク着用。独自の世界を貫く)
-65kgタイトルマッチは、中澤がタイトル獲得を果たした大会で左右田がKrush初参戦、KO勝ちでインパクトを残し、すぐに対戦をアピールしている。完全に流れができあがった状態であり、その流れを作ったのは左右田だ。
チャンピオンの中澤は、いざベルトを巻いてみると、それがゴールではないことに気づいたという。「僕はKrush-65kgのベルトを防衛して、ベルトの価値を高めてK-1に出場してチャンピオンになります。引退後のビジネスとして“K-1チャンピオン”という名刺があるのとないとでは全然違うので、その名刺が欲しいですね」
一方の左右田は、K-1のチャンピオンになるための「通過点」としてKrushに参戦。Krushのベルトも、あくまでK-1の頂点を目指すために必要だから獲るというスタンス。中澤とは見据えているものが似ているようで違う。
「Krushの起爆剤になる」とも言う左右田。個性派が多いKrushだが、公式行事では常にマスク着用、「リベルタ(自由)」がモットーの左右田はとりわけ目立つ。コメントも試合スタイルもストレートな中澤とは好対照で、そういう選手同士がぶつかり合うから面白い。この2大タイトルマッチ、勝者によって今後のKrushの風景が大きく変化しそうだ。