8月6日(日)に開催されるKrush.78(17:00~AbemaTVにて生中継)で、参戦2戦目にして-65kgのタイトルマッチに挑戦する左右田泰臣。“マスクマン”ファイターの1日に、ドキュメンタリー番組「ONE DAY」(16:28 ~AbemaTVにて放送)が密着取材を敢行した。
朝、三宿のフィットネスジム『ONE by FITNESS GYM T.I.S』に現れた左右田は自ら店舗の鍵を開け、黙々とガラスを拭き、階段の掃除などを始める。同店がオープンした去年3月よりマネージャー兼トレーナーとして働く左右田は、16歳の頃から12年間ハウスクリーニングの仕事をしていたとのことで「格闘技より得意かもしれない」と笑ってみせた。
働きながら格闘技をすることが美談となる風潮について「綺麗ごとですね」と切り捨てる左右田は「普通の人だって働いてますから」と続けて「練習以外の時間は何も(することが)ないから、働いた方が経験値になると思う」と、日常のすべてを自身の糧とする姿勢を明かした。
午前中に仕事を終え、ランニングに出た左右田は自身のコンディションについて「良くもなく悪くもなく、いつもと変わらない感じ」と語る。主戦場としている『K-1』から『Krush.』へ参戦することへの葛藤は無かったとする左右田は、1戦目の勝利が今回の戦いにつながったことから「意味があった『Krush.』の参戦だったと思います」と語った。
30分ほどのランニングを終えて自宅に戻った左右田は、自慢の『新日本プロレス』のカードをスタッフに見せながら“プロレス愛”を語る。小学生のときに偶然手に取った『週刊プロレス』がきっかけでプロレスの世界にのめりこんでいったと語る左右田は「プロレスラーの方は尊敬しかない存在」と目を輝かせ、自身はプロレスラーになる気はないのかと聞かれると「見させて頂けるだけで十分です」と、現在でもプロレスは憧れの存在であることを強調した。
部屋にはドスカラスJr.やタイガーマスクのマスクが飾られていたが、左右田自身のマスクはそのまま棚に置かれていた。所属団体である『シルバーウルフ』にちなみ、オオカミの口の中に顔があるという特徴的な見た目のマスクで「飾るものじゃなくて着けるもの」と、あえて飾らない理由も明かしていた。
マスクマンとして再起した理由について、左右田は「1回選手として死んでるんで」と語る。2016年3月の『K-1 WORLD GP 2016 IN JAPAN』での山崎秀晃との試合で、眼窩底(がんかてい)骨折という重傷を負った左右田は「あのとき左右田泰臣は終わった」と振り返る。
しかしゲーオ・ウィラサクレックからの誘いで、2016年7月にタイで1週間のトレーニングを積んだことが復活への契機になったのだそう。純粋に日々を生きるタイの人々に触れた左右田は「なりたい自分になる」と決心し、その気持ちからマスクを被るようになったのだと経緯を語った。
そして左右田は下北沢にある、自身のマスクを制作してくれたトイ・ショップ『CONVICT』を訪問する。代表の石毛力丸氏がマスク製作の過程を語る中、左右田は改めて職人の技術が込められた自身のマスクをまじまじと見つめ「スゴイなあって」と顔をほころばせていた。
続いて左右田は太子堂にある自身が所属する団体の『シルバーウルフジム』へ。普段の練習について左右田は月~土曜日はプロ練習をしており、その中で週2日『ウィラサクレックムエタイジム』などを訪れるのだそう。メニュー内容はシルバーウルフ代表の大宮司進氏と相談して決めているとも明かした。
アマチュア時代から左右田を育て上げた師・大宮司は左右田について、「(課題は)ありすぎて」と苦笑しながらも、そこに大きく左右田の伸びしろがあるのだと、今後の成長に期待を寄せていた。
相手の研究よりも自身のレベルアップに重きを置いて練習を積んでいるという左右田は次戦で「実力のある内容」を見せたいのだとして「やっぱり僕は『K-1』のベルトが欲しい」と、戦いの先を見据える。“新生K-1”誕生時、参加者の日本人の中で一番無名だったのにも関わらず、決勝戦にまで歩を進めた左右田は思い入れを語り「あのベルトが欲しい」と闘志を燃やしていた。
その日の最後のトレーニング場所として訪れたのは恵比寿にあるボクシングジム『EBISU K's BOX』で、左右田はここでボクシング主体のトレーニングを積んだ。代表の加山利治氏は「キックボクサーじゃ珍しいくらい懐の深い選手」と左右田を評し、ボクシングの腕についてもチャンピオンクラスとも同等以上にスパーリングをこなすのだと太鼓判を押していた。
左右田は格闘家として、ありのままの自分を表現して人の感情を動かしたいとのことで「“何もない”のが一番キツいですから」と語っていた。