現在、佳境を迎えている新日本プロレスのビッグイベント・G1クライマックスは、これまでにも数多くのドラマを生み出してきた。
G1史上に残る名場面の一つが、2011年の決勝戦後(8月9日(水)21:56~Abema)だ。内藤哲也を下し、悲願の初優勝。これまで最年少でIWGPヘビー級タイトルを獲得し、総合格闘技のリングにも参戦、常に期待されると同時にプレッシャーと闘ってきた中邑が夏の大一番を制したことは、本人だけでなく観客にとっても感慨深いものだった。
優勝を決めた中邑は、リング上でこう叫んだ。「一番スゲェのはプロレスなんだよ!」これは、かつてボブ・サップ戦に向けて使った言葉を再現したもの。最初は格闘技ブームに対抗する意味合いが強かった。「強さ」の格闘技に対し、プロレスのトータルでの「凄さ」を打ち出したのだ。
そしてこの2011年、中邑はあらためて「一番スゲェのはプロレスなんだよ!」と叫んだ。それは“暗黒期”とも呼ばれる時代を脱し、新日本プロレスを復興させていく象徴のようなものだったのかもしれない。
事実、この決勝戦が行われた両国国技館大会は、3年ぶりに超満員札止めとなっている。そしてこの翌年、2012年からは、ブシロードが新たな親会社となり、オカダ・カズチカというニュースターも誕生。新日本プロレスは大ブレイクへの道を突き進んでいくことになる。いまやWWEでもトップ戦線で活躍する中邑は、G1の歴史においても重要な役割を果たしているのだ。