日本マット界における夏の最大の一ベント・新日本プロレスのG1クライマックスが幕を閉じた。8月13日、両国国技館3連戦、その最終日。決勝戦で対戦したのはAブロック首位の内藤哲也とBブロック首位のケニー・オメガだった。
内藤は、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを率いる“制御不能のカリスマ”として新日本でもトップの人気を誇る。ケニーは昨年、外国人選手として初めてG1制覇を達成すると、今年の1.4東京ドーム、6月の大阪城ホールと2度にわたってIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカと死闘を展開。つまりこの決勝は、現在の新日本で最も“熱い”選手同士の激突だと言っていい。
実際、試合は期待を大きく上回るものになった。試合時間は34分35秒。G1史上最長だった。場外のテーブル上でのパイルドライバーなど危険な技が次々と繰り出される展開の中、内藤はケニーの必殺技である片翼の天使を回避。最後は旋回式からオリジナル版と、デスティーノの連発で決めた。
「今は自信を持って言える。新日本の主役はオレだ!」試合後、そうアピールした内藤。“正統派”だった4年前の初優勝時には、ファンの支持を得られなかった。しかしメキシコでロス・インゴベルナブレスと出会うと、自由で毒のある言動が話題になった。もともとプロレスセンスは抜群なだけに、試合ぶりもあらためて評価されるようになる。雑誌『Number』でのファン投票によるプロレス総選挙では1位を獲得した。
今回の内藤のG1制覇は、勢いやタイミングで成し得たものではない。すべての条件が揃った優勝劇であり、まさに今の新日本の中心には内藤がいる。次の目標はドームのメインでのIWGPヘビー級王座奪取。G1優勝で挑戦権を獲得しており、権利を守りきればタイトルマッチが実現する。このドームでの王座挑戦も、過去にはファンから支持されなかった。昨年、一度は王座奪取を果たしているが、短期間の保持に終わっている。
だが今は違う。ここでIWGP王者になれば、それは完全に新日本の、そして日本マット界の頂点に実力で立ったことを意味する。G1制覇からIWGP王者へ。真夏の両国、その熱狂は、内藤による新日本の“制御不能な完全支配”へとつながっていく。
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